著者
林 邦好 冨田 誠 田中 豊
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.89-101, 2008-01-31 (Released:2017-05-01)
参考文献数
11

主成分分析(PCA)は,変量の次元を縮約する多変量統計解析の代表的な手法である.主成分の意味付けをするために,固有ベクトルを解釈することになるが,特に主成分数を多くとる場合など,しばしば主成分の解釈が困難な状況に遭遇する.解釈を容易にするために,因子分析の場合のように軸を回転させることができれば便利である.先行研究では,主成分係数を回転対象とする方法と主成分負荷量を目転対象とする2つの立場がある.本論文ではPCAを次元縮約の方法と捉え,縮約された低次元空間の中で解釈し易いように座標軸を導入するという立場で,Jolliffe(1995)の提唱した3つの基準化の方法及び回転対象として主成分係数・主成分負荷量のどちらを選ぶかという問題を整理し,2組の実データ及び因子分析モデルに従って生成した人工データに適用して数値的検討を行った.その結果,基準化3(分散が1に等しくなるように基準化した場合)では,主成分負荷量を直交回転する方が対比が形成されにくく,く1つの軸に1つの意味が付与できることが明らかになった.