- 著者
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宇杉 富雄
中野 正明
新海 昭
林 隆治
- 出版者
- 日本植物病理學會
- 雑誌
- 日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.4, pp.512-521, 1991
- 被引用文献数
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2
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汁液接種によりサツマイモから3種のひも状ウイルスが分離された。M分離株は<i>Ipomoea</i> spp., <i>Nicotiana tabacum, Datura stramonium, Chenopodium quinoa, C. amaranticolor</i>に,Mo分離株は<i>Ipomoea</i> spp., <i>C. quinoa</i>および<i>C. amaranticolor</i>に,C分離株は<i>Ipomoea</i> spp.にのみ感染した。M, MoおよびCの希釈限界はそれぞれ,1,000∼10,000倍,1,000∼10,000倍および100∼1,000倍であり,保存限界は1日以内であった。また,不活化温度はそれぞれ50∼60°C, 60∼70°Cおよび70∼80°Cであった。M, Moのウイルス粒子はそれぞれ750∼810nm, 850∼880nmに,Cは710∼760nmと1,430∼1,510nmに分布した。ウイルス粒子の幅はいずれもおよそ13nmであった。Mは容易にモモアカアブラムシによって伝搬されたが,MoおよびCは伝搬されなかった。SSEM-PAGによりMと台湾で発生するsweet potato latent virus (SPLV)抗血清との間に,Moとsweet potato feathery mottle virus russet crack strain (SPFMV-RC)との間に血清関係が認められた。しかし,3分離株の間には血清関係は認められなかった。以上の結果から,MおよびMoはそれぞれSPLV(サツマイモ潜在ウイルス)およびSPFMV(サツマイモ斑紋モザイクウイルス)の1系統と考えられた。Cはサツマイモでは未記載のウイルスであり,これをサツマイモシンプトムレスウイルス(SPSV)と命名したい。