著者
柏 美智
出版者
日本精神保健看護学会
雑誌
日本精神保健看護学会誌 (ISSN:09180621)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.29-39, 2021-06-30 (Released:2021-06-30)
参考文献数
22

本研究は,困難に陥った一般病棟看護チームのレジリエンス表出による回復のプロセスを記述することを目的とした.看護師経験が6か月以上で,一般病棟に勤務する常勤看護師20名を対象に半構造化面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法に基づき分析した.困難に陥った一般病棟看護チームのレジリエンス表出による回復のプロセスは,【混迷】の中でチームが粘り強く耐えて【模索】し始めることで,看護師個々の相互関係を【醸成】し,さらにチームとして【強化】することで,安心空間の創出という【変容】に至るプロセスをたどったと解釈された.これら5局面において,【醸成】における〔対話の成立〕の有無がその後の【変容】にまでつながる契機となり,チームは相互作用を高めながらレジリエンスを表出して回復すると考察された.このプロセスにおいて,省察の場,つながりを求めること,経験知を蓄積していくことの重要性が示唆された.