著者
柳川 育子 矢吹 明子
出版者
京都市立看護短期大学
雑誌
京都市立看護短期大学紀要 (ISSN:02861097)
巻号頁・発行日
no.36, pp.61-68, 2011

この研究は1987 年から2009 年の23 年間に7 回の調査を実施し,その内の3 調査年次の資料を用いて解析した.第1 報では項目別に具体的に検討したが,第2 報は,同じような項目を次元としてまとめ,各次元別に平均得点を計算して統合的に,現代看護学生の特徴を浮き彫りにすることを試みた.この20 年余りの間には,1987 年頃のバブル経済全盛期,2000 年のバブル経済崩壊後の低成長安定期及び2009 年のリーマン・ショック後の世界金融危機及び新型インフルエンザの世界的な流行等,目まぐるしく社会は変化した.その時代背景が学生たちの生活実態や人間関係,学習態度等にも影響を及ぼしていることが考えられる.今回の解析結果から,過去の看護学生に比べて現代の看護学生の特徴をまとめると,「清潔習慣」及び「保健生活」の次元得点は向上を認めたが,「あいさつ」及び「社交性」の次元得点は低下し,人との関係性は希薄化している実態がうかがわれた.また,人への慈愛,面倒見の良さの「優しさ」は過去も現在も高い値を示した.