著者
今井 勝 COLEMAN D.F. 柳沢 健彦
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.413-418, 1985-12-05
被引用文献数
13

将来予想される大気の二酸化炭索(CO_2)分圧の上昇が, イネの生産過程に与える影響を知るための一助として本研究を行なった. 自然光ファイトトロンを用いて, 1/2,000aワクネルポットに土耕した材料(品種:日本晴)を長期間(39, 99, 110日)350μbarCO_2(標準)及び700μbarCO_2下におき, 生育・収量を比較した. 栄養生長期の処理では, 高CO_2により, 分げつ数, 葉面積及び全乾物重が標準区の各々60, 75, 94%増加したが, 根重の著しい増加(149%)により稲体のT-R率が低した. 成熟期まで処理を行なった試験区では, 高CO_2により早生化(主稈葉が1枚減じ, 出穂が6日以上促進された)と多収がもたらされた. 個体当り穂重は, 23〜72%増加したが,主稈の穂の調査により, 粒重よりも粒数の方が1穂重の増大には重要であることが知られた. また, 高CO_2によるイネの反応は, 昼/夜温が28/21℃よりも33/26℃の方が大であった.