著者
松本 憲一 柳澤 宙 田中 九平
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成15年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.91, 2003 (Released:2003-09-04)

【目的】そばのスプラウトは「そばもやし」「そば苗」などと呼ばれ、江戸時代の料理書「料理早指南」(1804)にその栽培法が記されているように、以前から利用されていたが、近年健康志向によりそばに含まれるルチンが注目され、そのスプラウトは新野菜として脚光を浴びている。かいわれだいこんと同様にいろいろな料理に幅広く使えることもあって、現在ではさまざまな商品が市販されるようになった。そこで、我々はそのルチン、ケルセチン含量を調べた。また、ダッタンそばのスプラウトとその若葉、宿根ソバの若葉、及びそれらを用いた試作品についても検討した。【方法】試料には、市販品及び試作栽培した普通そばとダッタンそばのスプラウト、ダッタンそばと宿根ソバの若葉、普通そば粉にそれら若葉の乾燥粉末を添加した生麺、乾麺、その他加工品を用いた。ルチン、ケルセチンはメタノール抽出後、HPLCにより測定した。水分は赤外線水分計を用いて測定した。【結果】ルチンは、普通そばスプラウトで約40_から_80mg/100g、ダッタンそばスプラウトで約50_から_280mg/100g 含まれていた。ケルセチンは、普通そばスプラウトにはほとんど含まれておらず、ダッタンそばスプラウトには約20_から_45mg/100g 含まれていた。水分量は、94_から_96%であり、ほとんど差がなかった。宿根ソバ若葉とダッタンそば若葉には同じくらいのルチンが含まれており、茎よりも葉のほうがより多く含有していた。また、それらの乾燥粉末を2%ほど添加すれば、1人前(150g)で1日のルチン所要量を摂取できるそば切りを作製することができた。