- 著者
-
柳澤貴司 貴司
- 出版者
- 北陸作物・育種学会
- 雑誌
- 北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, pp.63-65, 2016 (Released:2016-07-08)
- 参考文献数
- 4
大麦は他の穀物と比べて非常に多くの水溶性食物繊維が含まれている.特に胚乳細胞壁多糖である(1,3)(1,4)β-グルカン(以下β-グルカンと略)は,血中コレステロール低下や血糖値上昇抑制などの優れた健康維持機能性が報告されている.2006年にFDA(米国食品医薬局)が「大麦のβ-グルカンにコレステロール低減作用があり,心疾患予防効果がある」として「1食あたり0.75g以上 (1日3g以上) を含む食品に冠状動脈疾患のリスクを下げる」表示を認可した.日本でも2015年4月より「食品の新たな機能性表示」が開始された.2015年11月10日現在で消費者庁のHP(http://www.caa.go.jp/foods/index23.html) に公開された機能性表示食品の中に複数の大麦β-グルカンに関する製品が受理されている.
農研機構などの研究機関では大麦に価値を付けて需要・生産拡大を目指す品種育成の取り組みを行っており,機能性がクローズアップされる以前から大麦β-グルカン含量の高い材料の作出を実施している.今回のシンポジウムではβ-グルカンを高含有する大麦品種の紹介とそれを用いた研究の状況について取り上げる.