- 著者
 
          - 
             
             柴崎 正幸
             
             万代 恭嗣
             
             日下 浩二
             
             伊地知 正賢
             
             北村 成大
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 一般社団法人日本消化器外科学会
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.42, no.1, pp.1-9, 2009-01-01 
 
          
          
          
          - 被引用文献数
 
          - 
             
             1
             
             
             
          
        
 
        
        
        はじめに:クローン病において胃十二指腸病変は高率に認められるが,手術を要する進行病変はまれである.今回,当科での手術成績を検討したので報告する.対象・方法:1996年1月から2006年12月まで当科でクローン病胃十二指腸病変に対して手術を施行した症例について検討した.結果:同時期のクローン病全開腹手術件数893件のなかで胃十二指腸病変手術数は17例で,全体の1.9%であった.症状は嘔吐13例,腹痛3例,嘔吐+腹痛1例であった.術前に上部消化管造影検査を施行した15例全例で幽門狭窄を認め,そのうち10例では狭窄は十二指腸第2部まで及んでいた.手術術式は幽門洞切除+選択的迷走神経切離11例,広範囲胃切除3例,胃空腸吻合1例,十二指腸狭窄形成1例,穿孔例に対する大網充填1例であった.平均手術時間4時間17分,平均出血量331mlであった.合併症は2例に絶食を必要とする吻合部狭窄,2例にイレウス,1例に開腹止血術を要する消化管出血を認めた.病理標本を有する14例のうち非乾酪性類上皮肉芽腫を12例に,瘻孔形成を10例に認めた.平均観察期間43か月中に上部消化管再建部位にびらんを1例に認めたが,狭窄は認めていない.考察:クローン病胃十二指腸病変に対する幽門洞切除+選択的迷走神経切離術は高率に合併する瘻孔を切除でき,残胃も大きく残せる術式で短期成績も良好であり,合理的な手術術式と考えられた.