著者
柴崎 貞二
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.415-426, 1989-06-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
27

高校生16名(男子7名,女子9名)における食事調査を行い,栄養・食習慣と歯肉炎の程度,歯石沈着状態および歯垢付着状態との間の関連性について検討し,以下の如き結果を得た。1)栄養素等の摂取状態についてみると,カルシウム,鉄,野菜の摂取不足が男女ともに共通しており, 男子においてはさらにビタミンA , ビタミンB 2 も不足していた。2)食習慣のひとつとして食事の規則性についてみると,男子は女子に比べて食事回数,間食回数,食事の時間帯に不良傾向が認められた。3)歯肉炎の程度,歯石沈着状態および歯垢付着状態は,女子に比べて男子において不良てあった。これらの一因として男子における栄養・食習慣の不良傾向が示唆された。4)食生活状態を栄養・食習慣の良否から良好群,不良群,境界群の3群に分けて検討した結果,良好群の歯肉炎の程度と歯石沈着状態は,不良群に比較して有意差をもって軽度であった。5)歯肉炎の重症度とビタミンB2,淡色野菜および脂肪の充足率との間には,有意な負の相関関係が認められた。