著者
柴田 吉隆 赤司 卓也 伴 真秀
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.1_39-1_44, 2019-07-31 (Released:2019-11-15)
参考文献数
15

柴田らは,他者の考えを触発し議論を起こすための思索的将来像の構成要素と構造についてまとめたが,それを用いた議論の方法を明らかにすることが課題となっていた。本論では,多様なステークホルダーから多くの意見を収集することに加え,将来像に示された内容の解釈を深め,その内容を発展させるための議論のフレームワークが必要であると考えた。そこで,問いの設定とストーリー構築に優れたジャーナリストとの将来像に関する議論を実施し,それを分析的に振り返ることで目的のフレームワークを考案した。フレームワークは,社会システムが生みだす市民の「新しい考え方・行動」に関する意味の発見と,その考え方や行動を「促進する施策」の提案について,施策の実施のしやすさと影響力の異なる「流行」「習慣」「文化」のレイヤーで分けて検討するものである。このフレームワークを既存の将来像に関する議論に適用し,上下左右の枠の整合を考えながら将来像に示された内容の意味を解釈し,新たな提案を加えることで,将来像の内容を発展させる議論を実施した。