著者
柴田 徹一
出版者
慶應医学会
雑誌
慶應医学 (ISSN:03685179)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.111-125, 2009-04

はじめにI. 慶應義塾大学薬化学研究所創設までとその略歴II. 「慶應義塾大学薬化学研究所」の歴史III. 薬化学研究所に関係する「話題」おわりに謝辞特別寄稿
著者
柴田 徹一 浅見 敬三 (1984)
出版者
慶応義塾大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1984

本年はハロゲン化ビスフェノールに関しては嫌気性原虫の呼吸代謝に対する影響、リーシュマニア・ドノバニの増殖抑制、及び住血吸虫の中間宿主たるヒラマキ貝への作用を中心に乏討した。また、植物由来のクワシノイド、ニトロイミダゾール誘導体についても各々検討を加えた。1.ビチオノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェンは試験管内においての増殖抑制とほぼ同濃度(【10^(-4)】M)で有意にランブル鞭毛虫の内因性呼吸、NADH酸化等を阻害した。2.BALB/Cマウス肝におけるリーシュマニア・ドノバニの増殖をビチオノールが効果的に抑制することが判明した。同時にアロプリノールと比較したが、感染虫体数が多くなるとアロプリノールの方がやや優れていた。ただし、アロプリノールは腹腔内投与のためもあり、副作用が強く出現し、マウスの体重減少等を認めた。3.住血吸虫の媒介貝であるBiomphalariaに対してビチオノールは強い殺貝作用を示した。対照としてPCPを用いたが、これよりは数倍程度強力であった。但し、他研究所で行なわれたミヤイリ貝に対する研究ではそれほど強くは作用しなかった。現在ビチオノールのヒラマキ貝の呼吸に対する作用について検索している。4.その他の化合物ではクワシノイドとニトロイミダゾールについて特にトリパノソーマとアメーバを対象に検討した。前者はアメーバには良く秦効し、ハムスター,スナネズミにおいてメトロニダゾールに匹敵する治療効果を示したが、トリパノソーマについては殆んど殺虫作用を示さなかった。一方、後者はトリパノソーマに強力に作用する化合物を含み、現在1〜2のものをマウスのモデルを用いてテストしている。作用機序については主に電顕的に現在は実施している段階である。