著者
松野 陽一 長谷川 強 山崎 誠 鈴木 淳 小峯 和明 岡 雅彦 新藤 恊三 松野 陽一
出版者
国文学研究資料館
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1990

古典籍の成立事情と書写伝流の経路を究明する上で、写本の巻末に記載される奥書・識語を収集して、これを整理することは極めて重要、かつ有効な方法である。国文学研究資料館文献資料部では、可能な限り広範な古典籍の奥書を集成し、研究することに着手したが、2年間にわたる本研究において得られた具体的な成果は、以下に記すとおりである。1.国文学古典籍は日本各地の文庫・図書館等に所蔵されるが、質、量ともに豊富で、本研究の目的に合致するものとして、宮内庁書陵部本6,300点と陽明文庫本3,400点とを対象にして、奥書を抽出した。2.記載年時の明示されない奥書は、書写者の生没年時など周辺の事項から推定するなどして、抽出した奥書を年代順に配列して、文庫別にデ-タファイルに蓄積した。3.集成した奥書デ-タを、ジャンル別、作品名別、奥書記載者別などいくつかの要素に分析して、サンプリングデ-タの作成を試みた。4.サンプリングデ-タの一具体例として、文庫形成の面で独特の蔵書構成を示す真福寺本の奥書を悉皆調査して、書名による分析を通して書名索引を作成した。その成果は「研究成果報告書」に掲載した。5.奥書集成の具体例として、藤原俊成の家集『長秋詠藻』の諸本の奥書を写真版で収集し、書承経路をつきとめた。この作業では対象を書陵部本と陽明文庫本に限定せず、諸本を博捜して目的を達成することに務めた。この成果も「研究成果報告書」に掲載することができた。
著者
薗田 稔 茂木 栄 宇野 正人 岡田 荘司 杉山 林継
出版者
国学院大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1987

祭礼・儀礼は、それを担う地域の人々の民俗的、宗教的世界観の表出であるばかりでなく、風土・景観などの自然環境を儀礼的シンボルとして読み変え、祭礼で表現される。という前提に立って、調査研究を進めた。そのため、1、事例研究として、自然環境・風土的に際立った特徴をもつ山間地域の祭、平野部の祭、古代国府の祭、の調査研究に力を注いだ。2、日本全国の祭礼デ-タベ-ス作りが、ある程度完了。今後、民俗学・宗教学・文化人類学の祭礼研究分野に於て、個別研究から脱却した、総合的分析が、可能になるものと期待できる。3、事例研究の対象とした地域の、詳細な報告論文集は、平成2年度末までに出版する計画をもっている。と同時にその研究成果を映像化(映画とビデオ)した。これは、単なる祭礼記録映像ではなく、祭礼研究から得た成果のを分析し、映像的に表現したものである。(成果として提出)日本の祭の構成を自然環境との関係で考える場合、現在までに得た知見では、生活域の立地、古代のマチ作りなどに密接に関わっていることが分かった。特に、古代国府の祭に源を発し、現在に伝承されている各地の国府祭(総社の祭)のコスモロジ-の普遍性と特殊性の調査研究が重要である。日本の祭の普遍的な「山」の信仰の重要な部分を担っているようである。今後、デ-タベ-スを駆使して、日本の祭の普遍性と特殊性の解明、祭の何が祭たらしめているのかという要素の抽出など、今日まで、科学的には不可能であった問題への取組が可能となった。
著者
板谷 良平 北條 仁士 久保 寔 八坂 保能 阿部 宏尹
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1987

RFタンデムミラ-は、イオンサイクロトロン高周波(ICRF)のみを用いて、完全軸対称タンデムミラ-閉じ込めを実現しようとするものである。本研究において、セントラルRFとプラグRFの組合せにより、プラズマ生成、MHD安定化、イオン加熱、ならびに熱障壁付閉じ込め電位形成の全てが、ICRFにより達成できることを実証した。1.中央セルにおいて、セントラルRFにより励起したヘリコン/速波により、電子密度n〜1.8×10^<13>cm^<-3>、β値〜10%の高密度ヘリウムプラズマが生成された。2.n〜0.4×10^<13>cm^<-3>の2種イオンプラズマにおいて、混成共鳴層が存在するとき、イオン温度Ti〓〜220eVが得られた。これは、ヘリコン/速波が共鳴層で遅波にモ-ド変換され、少数イオン加熱が生じたためである。プラズマはRF動重力によりMHD的に安定である。3.セントラルRF入射によりプラグセル中央において電位のくぼみが観測された。これは、プラグセルで加熱された少数イオンがスロッシングイオン分布を形成したためである。また、n〜0.2×10^<13>cm-^3、Ti〓〜140eVにおいて、プラグセルに60〜80Vの閉じ込め電位が形成され、イオンの端損失の減少が達成された。計算によると、この閉じ込め電位により、軸方向の閉じ込め時間は2〜3倍に改善された。4.プラグRFの重量により、プラグセルにおいて約100Vの閉じ込め電位とともに約90Vの熱障壁電位が形成され、その電位の深さはプラグRFの入射電力にほぼ比例する。イオンの掃き出し機構は、プラグRFの方位角方向動重力に基づくイオンの半径方向の非両極性損失によるものであろう。
著者
大路 樹生 千葉 聡 遠藤 一佳 棚部 一成
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1993

棘皮動物はカンブリア紀以来現在まで生存する無脊椎動物の一門である。この門を特徴づけるもっとも明確な形質は、成体における五放射相称性であろう。この特徴がいつ頃から、どのように進化し、どのような機能的意義を持っていたのかを、古生物学的、発生学的、また分子生物学的な側面から検討することが本研究の目的である。1.化石記録からの検討 先カンブリア紀後期のTribrachidiumが三放射相称であることから、棘皮動物の対称性は三放射が起源であるとする考えもある。しかしTribrachidiumが棘皮動物であるかは疑わしい。カンブリア紀の棘皮動物にはすでに5本の歩帯溝が存在し、五放射のパターンが生じているのが分かる。この歩帯溝はまず3本に分かれ、そのうち2本がさらに2本に分岐し、計5本になるという、2-1-2のパターンを示している。このパターンはその後の棘皮動物にも広く見られ、本来五放射相称は2-1-2パターンから進化したと考えるのが妥当と思われる。2.発生学的検討 五放射相称が最初に現れるのは、水管系の形成において外側に5つの突起が作られる際であり、このことが五放射相称性の起源を考える上で重要である。今後水管系が発生の際にいかに作られていくかを詳細に観察することにより、先程の三放射と五放射の議論にも有益な示唆が得られるものであろう。3.分子生物学的検討 五放射相称性がどのような遺伝子に制御され作られているのかについては、現在全く分かっていない。生物のかたち作りにおける重要性を考えると、ホメオ遺伝子が五放射相称性の形成になんらかの形で関与していることが疑われる。そこで本研究では、ホメオボックス部分のDNAプライマーを作成し、ウニ類のホメオボックスを、PCR法により増幅することを試みた。その結果、エゾバフンウニにおいて目的とするDNA断片が増幅された。現在ホメオ遺伝子の発現と五放射相称性の形成との関係を調べつつある。
著者
遠山 濶志 吉田 善章 小川 雄一 井上 信幸 篠原 俊二郎
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1993

球状トカマク、TST(Tokyo Spherical Tokamakの略)が設計、製作された。球状トカマクでは、プラズマの断面形状が自動的に楕円形に変形し、プラズマの体積が大きくなる、高いベータ値のプラズマを安定に閉じ込めできる、電磁流体力学的(MHD)不安定性に対して強い抑制効果を持ち、放電停止に至るようなプラズマの主崩壊を起こしにくくなるなどの通常のトカマク装置よりも優れた点が理論的に予想されている。本研究では、以下の結果を得た。1)球状トカマクTSTを設計、製作した。直径1.8m、高さ1.6mの円筒形の真空容器内にトロイダルコイルの一部とオーミックコイルを設置している。2)トロイダル、オーミック、垂直磁場コイルを設計、製作した。トロイダル磁場は真空容器中心で0.2T、リップルは2%である。オーミックコイルのFlux swingは15mVsである。3)最大プラズマ電流、45kAのプラズマ放電に成功した。プラズマ電流は、オーミックコイル充電電圧、トロイダル磁場に比例する。4)PINダイオードアレイによるプラズマからの放射計測によってプラズマ形状の時間発展を調べた。放電開始から70μsでアスペクト比1.3に達していることがわかった。楕円度は90μsで1.8になっている。5)電流銃による電流駆動の初期実験を行った。電子銃からは1.7kA、1.5msの電子ビームがとれることがわかった。この電子銃をTSTに取り付けた結果ブレークダウンに必要なFlux swingが7分の1に減ることがわかった。
著者
金子 昌生 岡和田 健敏 高井 通勝 佐藤 一雄 田中 博 高橋 元一郎 宮崎 洋二郎 深谷 哲昭 小山 照夫 内藤 真明
出版者
浜松医科大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1986

本研究は、デジタル画像の圧縮・蓄積・転送など、画像の持つ情報管理の一面があり、アナログ情報をデジタル化して保管する方法を模索する研究も含まれている。4年間の研究期間中に、この分野の電子工学的発展はめざましく、研究のカバ-すべき範囲が広いため、X線撮影時からデジタル化される Computed Radiography(CR)は紹介するだけに留めた。従来から取り組んできたフィルムのアナログ的な保管方法であるマイクロ化システムを、いかにして効率よくデジタル化して活用するかについて新知見を得た。すなわち、テレビ・カメラのレンズ系をズ-ミングによりマイクロ・フィルム情報を直接拡大して電気信号に変換し、A/Dコンバ-タ-によりデジタル化する方法を開発した。CCD方式とレ-ザ-・スキャン方式のデジタル化も基礎的臨床的に比較検討した。デジタル画像の読影、報告書作製に関する適合性を評価するため、読影結果のレポ-ト作製の方法を比較検討するとともに、音声入力の方法の有用性を実際にテストした。Radiology Information System(RIS)の一環として放射線オ-ダリングやリファリングを実現させる反面で、その見返りとしてのレポ-ティングはやはりデジタル情報としてコミュニケ-ションされるべきであろう。しかし、有用なレポ-ト作製には臨床医から充分な臨床情報を得ることが必須条件である。このためのRISの臨床情報伝達ソフトウェア開発を行っているところである。画像管理・保管と読影業務すべてを包含するTotal Information System(TIS)をより高度化するために、実現可能性の高いMini-PACSやCase Information System(CIS)を実現させ、理想的なImage Management and Communication Systems(IMACS)を完成させるべきバック・グラウンドを研究した。
著者
平野 俊二 塩坪 いく子 山口 正弘 苧阪 直行 室伏 靖子 清水 御代明
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1987

本研究は人および動物の環境への適応機制に関する心理学的研究である。入力情報の処理から高次の概念獲得、目標定位行動に至る諸側面について、比較的・発達的要因を含めた検討を重ねた。1.視覚入力情報処理(1)乾はパタンの表現と構造化に関して強調と競合による可塑的神経回路網の計算理論を提案した。与えられた2次元画像強度デ-タから画像生成過程を産出する並列多段階モデルである。(2)苧阪は空間周波数パタンの感受性に及ぼす中心・周辺視処理システムの促進と抑制の効果、および、漢字、かなの読書における有効視野面に相互作用が働くことを明らかにした。2.概念の獲得(1)清水は言語文脈による概念の獲得を検討した。母語にない概念を言語文脈のみによって獲得することの困難をはじめ、既知の概念をあてはめようとする傾向、反証事例は必ずしも有効に用いられないが、定義を与えられると獲得可能となることが示された。(2)室伏はチンパンジ-に図形パタンと数字による物、色、数の符号化訓練後に、さまざまな対象について般化テストを行い、高次力デゴリ-としての概念の形成が色、物、数の順に難かしくなることが分った。3.目標定位(1)塩坪は目標定位に及ぼす発達的要因を調べた。10ヶ月乳児に手伸ばしと這行による対象選択を求め、反応は異なっても共通の特徴がみられること、対象の空間的配置や呈示順序が選択に影響することが見出された。(2)山口は目標定位と選択行動に関わる神経機構について、上丘損傷ラットの回りこみ行動を解析した。走行中の目標定位は損傷後も保持されるが間隙により再定位を要するとき、損傷の阻害効果が顕著となることが示された。(3)平野はラットの音刺激継時非見本合せで海馬損傷の影響を検討し、刺激差小、刺激間間隔大のときに障害が認められることを示した。
著者
新崎 盛暉 大橋 薫 大嶺 哲雄 高良 有政 平良 研一 佐久川 政一
出版者
沖縄大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1985

今年度は, 昭和60年度の沖繩本島・久米島地区, 昭和61年度の宮古・八重山地区において実施した「家族の実態と意識に関する調査」の集計結果を各班・全体会議等で解析・検討するとともに, 過去2年間の各自担当領域の調査研究成果の発表と相互の意見交換を重ねながら研究を進めた.その結果, 戦後沖繩における産業経済および社会の展開様式には, 27年余も続いた米国統治が大きく影響し, それは現在でも完全に払拭されてないなことが確認された. 同時に, 復帰後の社会変動も著しく, 政治・経済・社会・文化の諸相において「本土化」の様相が強くなっていることも確認された. したがって, 家族生活や親族組織等も変容の過程にあり, 家族問題も多様化・複雑化している. しかし, 生活や行動様式の基層においては, 沖繩的特性の残存も認められる. また, 当該問題の関連領域の総体においては本土化=標準化傾向が強くみられるものの, 人口・家族構成, 就業構造, 相続形態, 配偶者選択, ユタへの対応等においては沖繩内部における地域的差異も依然として存在することが確認された.
著者
木村 政昭 上田 誠也 山里 清 加藤 祐三 大森 保
出版者
琉球大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1988

1986年に世界の背弧海盆に先駆けて中央地溝の一つである伊平屋海凹内で研究者らにより、低温で非晶質の熱水性マウンドが発見された。そこで、本研究においては、大洋中央海嶺で発見されたような硫化鉱床や大型生物コロニ-が認められるような高温の熱水性ベント・システムが背弧海盆にも認められるのかということを世界に先駆けて検証することを目標の一つとした。そして、それによって背弧海盆が大洋中央海嶺と同じ様な拡大メカニズムにより形成されたのかどうかということを明らかにしようと努めた。その結果、研究者らが参加・協力した調査・研究において以下に述べるような成果があげられた。昭和63(1988)年度:4ー6月、伊平屋海凹と伊是名海穴で熱水性生ベント・システム発見。ドレッジにより大型生物や硫化鉱床採取(ゾンネ号:「かいよう」)。9月には、前記熱水域に潜航し、熱水性鉱床・生物コロニ-等のサンプル採取に成功(「しんかい2000」)。平成元(1989)年度:4ー5月、伊是名海穴で高温熱水を噴出するブラックスモ-カ-が発見され、さらに新熱水域を発見する(「しんかい2000」)、1990ー91年の調査により、さらに北方の奄西海丘でも熱水性鉱床が発見された。1991年6月、沖縄トラフ南部北縁の潜水調査。トラフ縁の沈水時期を明らかにする(「スコ-ピオン」)。平成4年1月、南西諸島南方海域の海底地形精密調査。海溝運動と島弧・背弧海盆形成メカニズムを探る(「よこすか」)。以上、本研究により、発見された鉱床は、わが国経済水域内にあり、いわゆる黒鉱型鉱床に酷似し、金・銀を多量に含む珍しいものである。そして、シロウリ貝やバクテリア等も発見採取され、生命の起源解明にも寄与した。更に今後熱水域が新たに発見される可能性も指摘することができた。一方、構造探査の方では、沖縄トラフは典型的な大陸性地殻構造を持っていることが明らかになったが、鉱床の性質はそれと予盾しない。
著者
佐藤 武 柴崎 達雄 伊津 信之介 根元 謙次 柴崎 逹雄 星野 通平
出版者
東海大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1984

第一鹿島海山の地形を検討すると、いくつかの地形面に区分することができる。そのうちで特徴的なものは、山頂部(水深3,700〜4,000m)の平担面と山体西半分を構成する鞍部(水深5,100〜5,500m)の平担面である。また、山体斜面部には、水深4,700m付近をとりまくように発逹する平担面と水深6,000m付近に同一深度をもつ平担面が識別できる。これらの面のうち、山頂部平担面と鞍部平担面とに礁性石灰岩の分布が確認されていること、さらに各面がほぼ同一深度に水平に発逹することから、これらの面の形成が過去の海水面の位置を示すものと考えることができる。さらに、それぞれの面には、その面を切り下位に開口する谷地形の存在が知られている。これらのことは海水面の変化が複雑な過程を経ていることを示している。これらの地形面(平担面)と谷地形を解析して白亜紀初期からの海水準変化を明らかにした。つぎに、山頂部平担面から採取した礁性石灰岩はチョーク,ウーライトを含み、石灰岩岩石学、古生物学的検討の結果、この石灰岩は一つの独立したbarrier reefの原形を残したまま沈水したものと考えられる。山頂部石灰岩の地質時代は前期白亜紀のlower Albianに対比される。また、鞍部石灰岩からも多数の二枚貝類,腹足類,石灰藻などが発見されているが、保存がわるく、同定が困難である。しかし、前期白亜紀のBarremianに特有な底生有孔虫が発見されていることから、山頂部石灰岩よりも古い時代に形成されたものと考えられる。鞍部の礁性石灰岩は未発達な礁を形成していたものと考えられる。音波探査,堆積物分析,岩石学的検討の結果も上記の古生物学検討の結果を支持している。
著者
堀川 直顕 三宅 和正 林 良一 福井 崇時 森 邦和 中西 彊
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1986

この研究はスピン偏極した陽子をつくり、高エネルギ-実験に利用することを一つの動機として原子状水素ガスの生成を目指した開発研究である。このため、いくつかの装置の製作、測定手段の開発を手がけ、原子状水素発生のテストに入る段階にきた。ここで、これまでの成果をまとめておく。(1)超伝導電磁石の冷却と励磁。最高6.4テスラを得、軸上磁場分布を測定。(2)磁場モニタ-用ホ-ル素子(Matsushita OHOO3)の低温での較正。(3)希釈冷却器の製作とテスト(ヘリウムー3ガスで0.4Kまで冷却)。(4)ヘリウムー3ガス循環精製器の製作とテスト。(5)冷却系、磁場強度等の自動モニタ系製作。(6)ラジオ波による水素ガスの放電効離条件のテスト。(7)原子状水素検出のためのボロメタ-の製作とテスト。ヘリウム超流動膜の消滅を示す信号を検出。(8)スピン偏極原子状水素をNMRで検出するための回路の製作。最終年度の報告が遅れたのは、上記の項目等を達成するのに時間がかかったためである。現状では希釈冷却器での水素解離は行っていないが、ガラスデュワ-中で超伝導磁石を冷やして励磁し水素ガス解離と検出のテストをくり返しており、希釈冷却器については機能向上のための改造を施している。今後の予定としては、(1)ガラスデュワ-中での原子状水素の確認、(2)希釈冷却器の希釈モ-ドテスト、(3)希釈冷却器内での原子状水素の貯蔵と検出、(4)ボロメタ-による密度測定、(5)ESR又はNMRによるスピン偏極度に測定、(6)マイクロ波による原子状水素ガスの取出し、等のテストに進んで行くことになる。なお、この研究と並行して高エネルギ-スピン実験も実行した。
著者
佐々木 恵彦 小島 克己 丹下 健 井出 雄二 八木 久義
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1991

これまでマングローブ林を農地開発した場所や開拓地で第四系海成堆積物を起源とした酸性硫酸塩土壌が問題となってきた。しかし農地開発や土木工事の規模が大きくなるにつれ、第三系堆積岩を起源とする酸性硫酸塩土壌の生成も顕在化してきた。本研究により、酸性硫酸塩土壌の母材となるパイライトを含む第三系堆積岩が、これまで問題となっていなかった場所も含め、広く日本に分布することがわかった。インドネシア東カリマンタン州やタイ南部でパイライトを含む第三系堆積岩を発見し、これまで第四系堆積物のみが問題となっていた熱帯地域においても、今後開発にともない第三系堆積岩を起源とする酸性硫酸塩土壌が問題となる可能性があること明らかにした。常磐自動車道の建設地で露出した古第三系堆積岩からは酸性化により特徴的にマンガンの溶出が起こり、植栽された樹木にもマンガンの過剰障害が顕著に現れた。このような強酸性土壌には低pHに対する耐性だけでなく、マンガン過剰に対する耐性が植栽樹木に要求される。このため比較的マンガン過剰に耐性があると考えられるシラカンバを用いて、マンガンによる障害の発生機構を調べ、光合成系に障害が発生することがわかった。熱帯産マメ科樹木のAcacia mangiumとA.auriculiformisは、低pHやマンガン、アルミニウムの過剰に対して耐性が大きく、熱帯での酸性硫酸塩土壌による荒廃地の森林再生に有効な樹種であることがわかった。さらなる耐性をもつ新樹木の作成にむけて、A.mangiumとA.auriculiformisの組織培養系を確立し、さらにA.mangiumの細胞培養系を用いて低pHとマンガン過剰に対する細胞レベルの反応を明らかにした。また高マンガン耐性細胞系の選抜をおこなった。これらの研究を基盤にして、酸性土壌に起因するストレスに対する耐性機構を解明し、また新たな耐性の付与を行い、荒廃地への造林樹種の開発と森林再生を目指して研究を進めて行く。
著者
外間 ゆき 東盛 キヨ子 金城 須美子 桂 正子 宮城 節子 尚 弘子 福田 亘博 知念 功 玉那覇 直
出版者
琉球大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1985

1.研究目的 昭和60年ー63年度の4年間、沖縄の長寿者の食生活と生活状況について聞き取り調査を行ない、その利用食品の中から特徴のあるものの食品分析と動物実験による生理的効果を検証して、長寿と食生活との関係を考察することを目的とした。2.方法 (1)聞き取り調査は80歳又は85歳以上、総数168人、本部町・与那城村・知念村・那霸市・粟国村・伊江村・伊是名村の7地区で家族構成、日常生活、食生活、栄養素・食品摂取、身体状況について行った。(2)食品分析は豚肉、海藻、味噌の一般成分、微量成分について行った。(3)動物実験は豚肉料理、海藻、茶を飼料として脂質代謝への影響をみた。3.結果 沖縄の長寿者達は転居が殆んどなく、持ち家率が95%と高く三世代同居が多く、家族にも長寿者が多かった。日常生活においては睡眠を充分とり、軽労又は運動を積極的に継続し、精神的なゆとりを持つよう心がけ、食事は一日三食、腹八分を心がけ、過度の飲酒、喫煙をつつしんでいた。栄養素摂取率では所要量に対し、エネルギーは80ー86%、たんぱく質は73ー81%でビタミンAとビタミンCは100%を超えて摂取していた。食品群別摂取量は穀類、野菜類、大豆製品、魚介類の順に多かった。穀類エネルギー比は50ー53%で脂肪エネルギー比は25ー26%であった。豚肉料理志向は強い。ゆでこぼし、あく取りを行う長時間加熱調理によって豚肉の脂質、コレステロール量は減少した。脂肪酸組成はパルミチン酸、オレイン酸、リノール酸が主であった。動物実験により"アシティビチ","中身の吸物"には脂質代謝改善効果のあることがわかった。ひとえぐさはβーカロチン、ビタミンCを含み抗酸化性が期待され、おごのりには脂質代謝改善効果が期待される。そら豆及びそてつ味噌のアミノ酸組成は普通味噌に比べて劣らなかった。香片茶にも脂質代謝改善効果が期待される結果を得た。
著者
片山 卓也 渡辺 治 佐伯 元司 米崎 直樹
出版者
東京工業大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1986

属性文法にもとづくソフトウェア自動合成システムの講成法についての研究を行った。このようなシステムの構成には、適切な仕様記述言語とそれで書かれた仕様からソフトウェアを生成するためのシステムが存在しなければならないが、本研究では、それらのいずれをも属性文法にもとづく形式的体系で記述しようとしたものである。元来、属性文法はプログラム言語の意味記述のために導入された形式的体系であるが、その本質は木構造上の関数的計算であり、ソフトウェアやその構成プロセス、ソフトウェアオブジェクトベースの記述には有効な形式的体系である。本研究はこのような観点にたって、ソフトウェア自動合成システムの構成に属性文法にもとづく形式的体系を用いようとしたものである。本研究で得られた主な成果は次の通りである。1.属性文法にもとづく階層的関数型言語AGとそのプログラミング環境SAGEシステムの構成、2.階層的関数型ソフトウェアプロセスモデルHFSPの提案とそのSAGEシステム上での実働化、3.オブジェクト指向属性文法OAGの提案とその評価法、およびソフトウェアデータベース記述への応用。言語AGとその環境SAGEについては、言語の仕様決定、SAGEシステムの各構成要素の設計と構成を行ったが、現在SAGEシステムは一般公開が可能な状態になっている。ソフトウェアプロセスモデルHFSPは、属性文法にもとづく階層的関数型計算モデルをソフトウェアプロセスに適用したものであり、いくつかのソフトウェアプロセスの記述およびそのSAGE上でのプロトタイプ実現を通してその有効性を確かめることが出来た。OAGはオブジェクト指向的機構を用いて属性文法に状態や自己改変概念を導入したものである。OAGの形式化、評価法およびオブジェクトベースの代表的局面の記述を通して、OAGの有効性を確認することができた。
著者
遠藤 康夫 加倉井 和久 山田 和芳 笠谷 光男 神木 正史 小松原 武美 鈴木 孝 高木 滋
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1989

高温超伝導を示す銅酸化物及びこれらの物質と同じ結晶構造を示す同型異物質の主として磁性を中心に物性と結晶構造の相関を研究した。1.銅酸化物では超伝導発現と銅イオンの持つスピンの二次元的な反強磁性磁気相関との因果関係を徹底して調らべた。最も大事な收穫はキャリアーが正孔である場合は酸素サイドに広がったキャリアーのスピンの影響で磁気相関が滋常に大きく変化し、反強磁性的な磁気相関も壊されるのに対し、電子的キャリアーの場合では反強磁気性相関が残ることが実験的に証明された。これは電子相関と磁性との密接な関係を論ずる基礎となる。2.キャリアーの濃度が増えると、磁気相関距離が短くなり、電子相関の強さとキャリアー濃度及び反強磁性相互作用の間の対応がついた。3.超伝導発現と磁気相関の関係については、全く同じ結晶を使って、酸化の度合いを制御して超伝導転移を変化させることに成功し、その結果として反強磁性相関及びスピンの揺らぎが超伝導の発現と密接にからんでいることを見つけた。4.同形のNi酸化物で、酸化度の違いによって微妙に反強磁性構造が変化することを見つけた。この時は結晶構造も微妙に変化することも見つけている。その他にもUを含むアクチナイド化合物の電子相関の強い物質について、超伝導反強磁性電子相関の3つの因果関係を含む関係を含む研究に着手した。この研究には、1K以下の極低温で中性子散乱が必要なために希釈冷凍機の調整を行なって、測定実験が可能なところにこぎつけた。
著者
江刺 洋司 太田 宏 吉岡 俊人
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1992

本研究は省エネルギーを前提として国連が計画中の、国際植物遺伝子銀行設立に際してコンサルタントを依頼され、それを実現に導くための基礎的な種子の貯蔵条件を解明するために実施された。その結果、遺伝資源としての植物種子の長期間に亙る貯蔵を、永久凍土の年平均-3.5℃で行うためには、従来各国で採用されてきた方法を適用することは妥当ではなく、種子の劣化を招く主要因となっている水分と代謝生産物であるカルボニル化合物を除去することが必要なことが判明した。そのための最も簡便な方法として、定期的な真空脱気法の導入が望ましいことが明かになった。ただ、残念ながらこの場合には完全なエネルギーコスト消減は不可能ということになり、初期の目的には沿わないことになる。また、施設費も相当嵩むことになることから、相当長期に亙る運用を前提とした経済的な検討が、実際に建設に踏み切る場合にはなされる必要がある。ただ、そうだとしても、将来の化石燃料枯渇の時代を予測するならば、本計画は実行に移されるべき性質のものと私は判断する。幸運なことに、本研究の過程で、種子の老化機構についての実体が解明され、種子の貯蔵湿度に対応して二種類の劣化の道が作動することが判明した。一つは、高い湿度下でのみ進む補酵素群の消耗、ミトコンドリア発達能の低下によるものであり、通常採用されている乾燥種子の保存の場合には殆ど問題とはならないと思われる。二つめの種子老化の仕組は種子自らが貯蔵期間中に生成・放出するカルボニル化合物、主としてアセトアルデヒドと種子中の機能蛋白質のアミノ基との間でシッフ反応の結果、蛋白質の変成を来して老化する機構であり、この反応率も高湿度下で高いものの前者とは違って、通常用いられる低湿度下でも進行するものである。後者の仕組みは植物の老化に一般的に当てはまるものと推定され植物の老化の研究に新たな展望を与えることになった。
著者
TAKAHASHI Tsutomu 安井 元昭
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1988

研究の目的は雲の組織化過程をメソ擾乱の場で考え、その組織化した雲での降水過程について考察することである。研究ははじめ3次元数値モデルを用い、雲の組織化過程について考察、その結果をハワイのレインバンドの観測デ-タと比較した。次いで3次元モデルで孤立雲に限定、微物理過程を導入、Warm CloudとCool Cloudについての鉛直風と降水効果についての研究を行った。更に海洋性雲で氷晶の降水への役割について研究を行った。この結果の検証のため熱帯でビデオカメラによる観測を行った。主な結果は次の通りである。1.3次元モデル内での浅い雲群で、強力なバンド雲は下層の温度ステップにそって発達、下層でネジれた放物線が加わり、バンド雲内に大きなセルが成長した。降水効率はバンド雲内に大きなセルが出現するほど増大した。2.キングエア機によるハワイレインバンドの研究では強力なレインバンドの形成のモデル計算の結果を確かめることが出来た。レインバンドの発達に伴い、下層での湿った空気の輸送を補うよう風上側で下降があり、このように形成された安定層は風上側に新しいバンド雲を形成する。3.微物理過程を導入した3次元孤立モデル雲での降水は、氷晶成長を通して、早く、強く、長く継続した。背の高い海洋性雲では水滴の凍結の降水への重要性が示された。4.熱帯積乱雲内の降水粒子観測を新しく試作したビデオカメラゾンデてミクロネシア・ポナペ島とパプアニュ-ギニア・マヌス島で行った。熱帯積乱雲には多くの雪・雹がはじめて観測され雨滴凍結を通して0℃少し上方の狭い層内で水の大きな集積が観測され、降水機構が水の凍結で効率よく行われていることが判明した。
著者
高久 史麿 平井 久丸 岡部 哲郎 春日 雅人 浦部 晶夫 大沢 仲昭
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1984

白血病においても他の悪性腫瘍の場合と同様に活性化された癌遺伝子、すなわちtransforming geneが存在することが証明されている。transforming geneの証明には、通常、培養NIH3T3細胞を用いるtransfection assayが行われているが、われわれはその方法を用いて32例の白血病症例を対象にして患者白血病細胞DNA中のtransforming geneの有無を検索し、4例でその存在を確認、この中の2例(慢性骨髄性白血病ならびに急性リンパ性白血病各1例)で遺伝子のクローニングを行って、いずれもN-ras oncogeneの34番目のヌクレオチドがguanineからthymineに変わっており、この点突然変異がN-ras oncogeneの活性化すなわちtransforming geneの存在にむすびついていることを明らかにした。また、腫瘍細胞由来のDNAをtransfectしたNIH3T3細胞をヌードマウスに移植して、腫瘍の形成によるtransforming geneの検索をも行い、前白血病状態と呼ばれる病態でも、その半数でtransforming geneを証明した。各種の分化、増殖因子やレセプターと癌遺伝子との密接な関係が注目され、癌遺伝子の質的、量的変化が各種疾患の病態の発現に重要な役割を演じていることが明らかになってきているが、われわれの行った血液細胞における分化・増殖因子とレセプター、癌遺伝子ならびにレトロウイルスなどを中心とする研究は今後、白血病の病態の解明に大きく寄与するものである。
著者
深尾 良夫 ゲラー ロバート 山田 功夫 武尾 実 島崎 邦彦
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1993

本計画は、世界最大の沈み込み帯である西太平洋域の地球内部構造を解明するために、(1)カムチャッカに新しい高性能地震観測点を建設し、(2)ミクロネシア観測点のバ-ジョンアップを行ない、(3)これまでに得られた記録から地震学的トモグラフィーを行ない従来より鮮明な地球内部イメージを得ること、が目的であった。以下に、成果の概要を報告する。(1)カメンソコエ観測点の建設平成5年度中は観測点建設のための様々な準備(観測システムの構成部品の入手・組立及び調整、相手側研究者との連絡、相手側研究者による観測壕の建設など)を行なった。平成6年度は、建設された観測壕に地震計システムを設置し運転を開始したが、機材の輸送トラブルにより地震計1成分の部品が足りず2成分観測で出発せざるをえなかった。平成7年度にようやく残り1成分も動きだし、現在は順調に稼働を続けている。データは光磁気ディスクの形で送られてきている。(2)ミクロネシア観測点のバ-ジョンアップ平成5年度、ミクロネシア連邦ポナペ観測点において別途予算で高性能地震観測を開始した。この間、ミクロネシアでは全島に光ケーブル電話回線を敷設する工事が進められた、その結果、平成6年度には電話事情が格段に改善され、日本からの電話呼出しによる地震計のシステムコントロールや準オンラインでの主要地震記録の取り込みが可能となった。平成7年度は、観測壕のかぶりを深くし引込用電柱を撤廃してケーブルを埋設化した。ポナペ観測点は計画期間中総じて順調に稼働し良好なデータを得ることができた。地震学的トモグラフィーによる地球内部解明全マントルP波トモグラフィー(平成5年度):Fukao et al.(1992)が行なったよりもデータ数を5倍にして全マントルトモグラフィーを行ない、特に西太平洋全域で「マントル遷移層によどむスラブ」のより鮮明なイメージを得た。一方、1994年のデジタル波形を用いて相関法によってP-PP波到達時刻差を測定し、全マントルP波トモグラフィーで分解能の高い地域ではモデルと測定とがよく一致すること、逆に分解能の低い地域では一致が悪いことを示した。表面波群速度測定(平成6年度):ポナペ島及び父島において西太平洋の最も古い海洋底(160Ma)と最も若い海洋底(`0Ma)のレイリー波群速度を測定し、従来実測された如何なる地域よりも早い群速度及び遅い群速度を得た。コア・マントル境界P波トモグラフィー(平成7年度):グローバルなP波及びPcP波到達時刻データを用いて、コア・マントル境界付近の水平不均質構造を求めた。特に、新しいモデルを提出するよりも用いたデータから確実に抽出できるイメージを明らかにすることに焦点を絞り、東南アジアと中南米の低速度異常と北極域の高速度異常を見いだした。