著者
柴田 茂雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.30-34, 1994-01-20 (Released:2017-07-11)

一見単純にみえる水の電気分解も電極反応は一筋縄では行かないほど複雑多岐である。電極には幾通りもの反応の道筋が用意されている。どの道筋を通るかは電極の種類や電気分解の条件によって決まる。それぞれの経路には特有の抵抗がありそのためにエネルギーの損失や中間物質の濃縮などが見られる。ここでは, 水の電気分解のときカソード反応(水素発生)を中心に水素イオン(H^+)がどのような経路を辿って水素(H_2)に変わるのか, その道筋でどのようなことが起きているかなどの問題を取り上げてみたい。