- 著者
-
笹山 幸治
柿本 将秀
平本 芳恵
- 出版者
- 一般社団法人 日本体外循環技術医学会
- 雑誌
- 体外循環技術 (ISSN:09122664)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.2, pp.131-138, 2014 (Released:2014-07-10)
- 参考文献数
- 19
人工心肺中のマイクロバブルの発生と対処法について、基礎実験で実証されたデータをもとに臨床データを示し、発生防止について検討した。基礎実験は全て新品の人工心肺器材を用いて模擬回路を作製した。回路は牛血で充填し、血液の状態を調整後、ローラーポンプを用いて空気を脱血回路に連続混入した。マイクロバブルは人工心肺器材別の入口と出口でCMD20マイクロバブルカウンターを用いて測定した。基礎実験の結果、すべての静脈血貯血槽で貯血レベルに関係なくマイクロバブルを放出した。充填量に関係なく人工肺はマイクロバブルを放出し、圧力損失の上昇に伴ってマイクロバブルの除去効率が上昇した。動脈フィルターを人工肺下流に配置することで送血回路に混入したマイクロバブルの減少を認めた。人工肺でのマイクロバブル除去率は混入した空気量の増加に伴って減少した。結果を踏まえ、臨床データを評価した。基礎実験と同様に送血回路にマイクロバブルが混入し、特に人工心肺開始時、右房切開時、心臓脱転時などで増加した。マイクロバブルは浮力が小さいために血流へ乗りやすく、血液内では溶解速度も延長する。そして、ガス状微小塞栓の原因であるマイクロバブルは臨床結果に重要な影響を持っている可能性がある。従って、人工心肺中の脱血回路に空気が入らないように手術手技は注意しなければならない。