著者
柿沼 佐代子 岡崎 章 内藤 茂幸
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.D02-D02, 2009

患児は,入院という環境下では常に不安感と孤独感を抱えている.心を許した看護師の存在は大きく,処置室に付き添う看護師を選択する患児もいる.しかし,その看護師が非番でいなかった場合は不安感は増長してしまう.このとき,患児の不安感を軽減し処置や手術に対する気持ちを紛らわすことができるツールを開発した.<BR>本ツールは,患児が操作し看護師の写真や動画をコンピュータの画面上で再生できる機能を備えている.初期画面には,35人分の看護師の顔写真をアイコンで配置・表示した.患児は看護師のアイコンをクリックし,各コンテンツを楽しむことができる.本ツールには,看護師から処置や手術の前後に患児の心のケアを行うメッセージ動画や,画面上の看護師と遊ぶ写真を再生するコンテンツを備えている.<BR>本ツールを実験した結果,患児の気を紛らわすツールとしては大いに効果が見られた.初期画面に看護師全員のアイコンを表示することで,患児の興味が特定の看護師に固執せず,多くの看護師から励まされていることを認識させ安心感を与えることができた.また,患児に興味を持たれることで,看護師に患児との関係を見直す機会を与えることができると考える.