著者
栁川 鋭士
出版者
情報ネットワーク法学会
雑誌
情報ネットワーク・ローレビュー (ISSN:24350303)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.47-63, 2020-12-20 (Released:2020-12-25)

改正された道路交通法及び道路運送車両法並びに保安基準が2020年4月1日に施行され、日本において、いわゆるレベル3の自動運転車の公道での実用化が法律上可能となった。レベル3の自動運転車の事故における民事裁判においては、事故発生時の運転状況を記録した証拠が特に重要となる。道路運送車両法は作動状態記録装置の設置を義務付けており、ドライブレコーダー、EDRと共に事故状況を再現するための重要な電子証拠となる。これらの電子証拠は、自動運転車の事故状況の立証において決定的に重要となり得ることから、証拠調べ手続における当該証拠の取扱い、とりわけ、その証拠の同一性及び正確な再現性の確保が必要である。そこで、本稿では、刑事訴訟における「証拠の関連性」概念を参考にして、民事訴訟においても、「証拠の関連性」概念による裁判所の裁量規制(考慮要素の提示)を行うことによって、適正な事実認定が確保されることを提唱する。