- 著者
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西村 知紗
吉岡 智史
栁澤 琢也
半田 明弘
- 出版者
- 日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
- 巻号頁・発行日
- pp.92, 2016 (Released:2016-08-28)
【目的】野菜に含まれる苦味成分であるポリフェノール、アルカロイドは、近年その健康機能が注目されており、多くの報告がなされている。しかし、一般に野菜の苦味は嗜好的に敬遠される傾向があり、野菜の摂取不足の一因と考えられる。この野菜の苦味を低減することは、野菜の摂取量を増やし、結果として人々の健康に寄与できる。我々は日本調理科学会平成27年度大会において、苦味低減にはマヨネーズが有効であること、マヨネーズ原料(卵黄、油脂、酢)のうち、卵黄が最も苦味低減に寄与することを報告した。本研究では、苦味低減の作用機序を明らかにするため、卵黄及び卵白の添加量、酸変性が苦味に与える影響について検討した。 【方法】対象とする野菜としては苦味が要因となり嗜好性を低下させていると考えられるピーマンを選択した。ピーマンに水を加え、フードプロセッサーで粉砕し、ろ過した。ろ液に卵黄及び卵白を添加し、味認識装置による苦味評価を実施した。また、卵黄及び卵白に氷酢酸を添加し、16、25時間静置した。これらをろ液に添加し、味認識装置による苦味評価を実施した。卵黄及び卵白のタンパク質の変性度の指標として濁度を測定した。 【結果】卵黄、卵白とも添加量が高いほど苦味が低くなった。また、いずれの添加量においても卵黄添加区は卵白添加区と比較して有意に苦味が低かった。さらに、卵黄、卵白とも酸濃度が高く、静置時間が長いほど苦味が低かったことから、それらの変性度が高いほど苦味低減効果が高くなることが示唆された。このような酸による卵黄および卵白のタンパク質の変性は、マヨネーズ中でも起きていると考えられ、ピーマンの苦味低減の作用機序に関与していると思われる。