著者
栗原 理也 長野 方星
出版者
日本熱物性学会
雑誌
熱物性 (ISSN:0913946X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.82-88, 2015 (Released:2015-03-12)
参考文献数
11
被引用文献数
1

ピッチ系炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic, CFRP)の面内方向の熱拡散率とその異方性を非接触かつ簡易・迅速に評価するための新しい装置を開発した.本装置は,レーザースポット式周期加熱法を基本原理とし,温度および位相計測にロックイン・サーモグラフィを用いている.サーモグラフィにより周期点熱源と試料温度との位相差を計測,解析することで熱拡散率が求められる.繊維の配向方向の異なる二種類のサンプル(一方向材[0°]と二方向材[0°/90°])を製作し,面内熱拡散率を測定した.その結果,一方向材と二方向材では異なる熱拡散率分布を有すること,また面内異方性の程度を視覚的に示すことができた.また,両者の面内熱拡散率の角度依存性を定量的に求めた.さらに,別で求めた比熱容量と密度から,熱伝導率を算出し評価を行った.