著者
石川 毅彦 パラディ ポールフランソワ 藤井 隆一 依田 眞一
出版者
日本熱物性学会
雑誌
熱物性 (ISSN:0913946X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.61-66, 2005-04-30 (Released:2008-10-27)
参考文献数
25
被引用文献数
3 5

過冷却状態を含むタングステン融体の熱物性値を静電浮遊炉を用いた無容器法により測定した。その結果、3125~3707K の温度範囲において測定された密度はρ(T) =16.7(±0.33)x10³-1.08(±0.08)(T-Tm) (kg⋅m-3) (融点Tmは3695K )となり、熱膨張率は6.6 x 10-5 K-1 となった。同様に3398~3695K の温度範囲において、表面張力はγ(T) =2.48x10³(±75)-0.31(±0.08)(T-Tm) (10-3N⋅m-1)、粘性係数はη(T) =0.11(±0.02)exp[12.8(±4.1)x104/(RT)] (10-3Pa⋅s)となった。
著者
蒔苗 勇成 青木 秀敏 丹野 庄二 三浦 隆利
出版者
日本熱物性学会
雑誌
熱物性 (ISSN:0913946X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.221-226, 1993-10-30 (Released:2010-03-16)
参考文献数
13

非定常熱流法を用いて高吸水性ポリマーの熱物性値を測定した。 有効熱拡散率および有効熱伝導率を乾燥状態と吸水状態について測定し、 含水率はポリマーとの重量比で0から100まで変化させ、 温度は20℃から80℃まで変化させた。 乾燥ポリマーは温度依存性がみられなかったが、 吸水状態では、 有効熱伝導率について温度依存性がみられた。
著者
松永 直樹 堀 守雄 長島 昭
出版者
日本熱物性学会
雑誌
熱物性 (ISSN:0913946X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.143-148, 2007-08-31 (Released:2008-09-05)
参考文献数
24
被引用文献数
1 5

プロパン(C3H8) およプロピレン(C3H6) の空気、窒素および酸素に対する拡散係数を、温度範囲303~453 K において大気圧下でTaylor 分散法を用いて測定した。プロパン、プロピレンとも、空気を窒素または酸素で置き換えても拡散係数の値には事実上差が生じないことがわかった。また、プロピレンの拡散係数はプロパンに比べて系統的に3% 程度大きい。測定結果は、D/ cm2s−1 = A(T /K)B の形の相関式で再現することができる。ここで、Dは101.325 kPa (1 atm) における拡散係数、Tは絶対温度である。係数AおよびBの値は、プロパン-(空気、窒素、酸素) 系に対してはA= 4.65×10−6、B= 1.77、プロピレン-(空気、窒素、酸素) 系に対してはA= 5.08×10−6、B= 1.76である。
著者
秋野 詔夫
出版者
日本熱物性学会
雑誌
熱物性 (ISSN:0913946X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.259-265, 1993-10-30 (Released:2010-03-16)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

感温液晶は、 温度に応じて美しく鮮やかな色彩を呈する. これを物体に塗布したり液体中に懸濁させると、 熱と流れの挙動が、 リアルタイムでカラー映像として直接観察できるようになる. 熱流動現象の理解・把握が直感的に容易になる. この技法は、 使い方が易しく、 安価であり、 最近、 熱流動現象の研究によく用いられるようになってきた. ここでは、 感温液晶の種類、 マイクロカプセル化液晶の光学的特性、 定量的可視化計測に焦点を置いて展望解説する.
著者
冨岡 孝太 太刀川 純孝 長坂 雄次
出版者
日本熱物性学会
雑誌
熱物性 (ISSN:0913946X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.5-11, 2021 (Released:2021-10-04)
参考文献数
11

従来の宇宙機用ラジエータ材は太陽光を反射する目的で金属を含む材料を一般に用いていたため,電波透過面に適用することは出来ない.そこで,金属を用いず低太陽光吸収率を示し,かつ,高全半球放射率を示す新しい電波透過型宇宙用熱制御材COSF(Controlled Optical Surface Film)を開発している.本材料は,耐宇宙環境性に優れたポリイミドフィルムを基板とし,その表面には誘電体多層膜が成膜されている.多層膜の膜厚は遺伝的アルゴリズムを用いて設計し,低太陽光吸収率及び高全半球放射率となるように,評価関数を設定した.本論文では,熱光学特性に関する設計方法及び測定結果について報告する.
著者
吉田 篤正
出版者
日本熱物性学会
雑誌
熱物性 (ISSN:0913946X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.266-272, 1993-10-30 (Released:2010-03-16)
参考文献数
19

本解説では、 まず、 大気中の二酸化炭素濃度の増大による地球規模の温暖化のメカニズムを概説する。 次に、 これまでの観測データに基づいて、 地球大気系の現在の状態を診断する。 さらに、 今後の地球大気系の熱環境変化の予測に関して、 主に、 数値実験から得られた結果を紹介する。 数値実験で用いられる気候モデルとその問題点についても言及する。
著者
堀 友繁
出版者
日本熱物性学会
雑誌
熱物性 (ISSN:0913946X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.297-302, 1991-10-20 (Released:2010-03-16)
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

熟練技術者の五感と経験に全てを託してきた従来の主観的乳凝固検出法に代わるインライン機器測定法として、 約10年前に対流熱伝達現象を利用する熱的方法が考案され、 数年前にチーズ製造工程の自動化が世界で初めて実現した。 食品分野で熱物性の研究が必要なのかという素朴な疑問に答えるための話題提供として同測定法について概要を紹介する。
著者
恵谷 英之 荒井 康彦
出版者
日本熱物性学会
雑誌
熱物性 (ISSN:0913946X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.106-115, 1991-04-20 (Released:2010-03-16)
参考文献数
41
被引用文献数
1 1

溶解度は、 化学関連のプロセス設計以外に、 高分子材料の製造や生物工学などの新しい分野においても重要な基礎的知見となっている。 本稿では、 まず溶解度の基礎事項を解説した後に、 気体の溶解度に関する4つのトピックスをとりあげ、 最近の推算法および理論について概説した。
著者
奥山 邦人
出版者
日本熱物性学会
雑誌
熱物性 (ISSN:0913946X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.276-280, 1994-10-31 (Released:2010-03-16)
参考文献数
14

熱電対は, 局所, 高応答の測定が可能で, 温度差の測定に便利な特徴をもつ温度計として広く用いられています. 構造が簡単で取扱いやすく, 測定器につなげば一応起電力程度の値を示すので手軽に利用されますが, そこにはともすれば見落としかねない多くの誤差要因があり, 正しい温度を測定しようとする場合には注意が必要です. ここでは熱電対の原理から, 作り方, 熱電対の取り付け, 測定器, 校正法にわたり, 正しい測定を行うための方法について解説します.
著者
大垣 正信 小杉 健一 奥山 圭一 中村 達三郎
出版者
日本熱物性学会
雑誌
熱物性 (ISSN:0913946X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.86-91, 1991-04-20 (Released:2010-03-16)
参考文献数
3

宇宙往還機では空力的問題や構造的問題に加え、 熱的問題も大きな課題である。 ここでは、 宇宙往還機の開発時に想定される種々の熱的問題について述べている。
著者
タン チアユアン 鳥居 大地 小杉 直央 菊川 豪太 小原 拓
出版者
日本熱物性学会
雑誌
熱物性 : Japan journal of thermophysical properties (ISSN:0913946X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.134-140, 2010-08-30
参考文献数
25
被引用文献数
1

長鎖状ポリマー分子からなる液体中の熱伝導を決定する分子スケールのメカニズムについて,分子動力学シミュレーションによる観察結果に基づいて議論する.典型的なポリマー分子として直鎖アルカンを選択し,そのバルク液体に一定の温度勾配及び熱流束を誘起させる非平衡分子動力学シミュレーションを行った.鎖長が異なる6種類の直鎖アルカン分子からなる対臨界温度0.7の飽和液を対象として,熱流束の構成要素である分子間・分子内相互作用によるエネルギー伝搬の大きさを観測した.その結果,分子の鎖長が長いほど,分子内エネルギー伝搬がなす寄与が分子間エネルギー伝搬と比較して大きくなり,長鎖ポリマー液体中では分子内の強固な結合に沿った熱エネルギーの空間中の移動が熱伝導流束を構成する主な因子であることが明らかになった.
著者
栩谷 吉郎 藤本 雅則
出版者
日本熱物性学会
雑誌
熱物性 (ISSN:0913946X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.230-236, 2001-10-31 (Released:2009-03-03)
参考文献数
18
被引用文献数
3 9

あまに油,とうもろこし油,大豆油,菜種油,綿実油,落花生油,ぬか油,紅花油,やし油,パーム油の合計10種類の植物油について比熱容量を測定した.測定は,試料をできる限り均一に加熱する目的で加熱と攪拌を同時に行えるように設計した回転型ヒータをもつ断熱型熱量計で行われた.圧力は大気圧下,温度範囲は常温付近から約440Kまでとした.各試料に対する比熱容量の近似式が,温度の関数として作成され,提示されている.

1 0 0 0 OA 土壌の熱物性

著者
稲葉 英男
出版者
日本熱物性学会
雑誌
熱物性 (ISSN:0913946X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.31-39, 1989-04-15 (Released:2010-03-16)
参考文献数
25
被引用文献数
1 5

本稿は、 土壌の熱物性に関する情報についてレビューを行ったものである。土壌熱物性としては、 密度、 体積熱容量及び熱伝導率をとりあげた。 特に、 土壌構造及び含水状態により、 大きく影響を受ける熱伝導率に関しては、 未凍結及び凍結状態における土壌熱伝導構造を詳述した。 また、 各種データは、 使用し易いように図表化し、 可能な限り推奨式を加えた。
著者
栗原 理也 長野 方星
出版者
日本熱物性学会
雑誌
熱物性 (ISSN:0913946X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.82-88, 2015 (Released:2015-03-12)
参考文献数
11
被引用文献数
1

ピッチ系炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic, CFRP)の面内方向の熱拡散率とその異方性を非接触かつ簡易・迅速に評価するための新しい装置を開発した.本装置は,レーザースポット式周期加熱法を基本原理とし,温度および位相計測にロックイン・サーモグラフィを用いている.サーモグラフィにより周期点熱源と試料温度との位相差を計測,解析することで熱拡散率が求められる.繊維の配向方向の異なる二種類のサンプル(一方向材[0°]と二方向材[0°/90°])を製作し,面内熱拡散率を測定した.その結果,一方向材と二方向材では異なる熱拡散率分布を有すること,また面内異方性の程度を視覚的に示すことができた.また,両者の面内熱拡散率の角度依存性を定量的に求めた.さらに,別で求めた比熱容量と密度から,熱伝導率を算出し評価を行った.
著者
高市 侃
出版者
JAPAN SOCIETY OF THERMOPHYSICAL PROPERTIES
雑誌
熱物性 (ISSN:0913946X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.227-232, 1991

モントリオール議定書に基づくCFCの国際的規制が、 1989年7月から実施されているが、 国際的に更に規制強化の声が強くなり昨年6月のロンドン会議において、 CFCの全廃を含む規制強化案が採択された。 そこで、 CFCの国際的な規制の動向と国内の対策状況について解説する。
著者
喜多野 一幸 羽入田 勝也 竹越 榮俊 澤田 昌俊 平澤 良男 小坂 暁夫
出版者
日本熱物性学会
雑誌
熱物性 (ISSN:0913946X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.142-146, 2005 (Released:2006-10-13)
参考文献数
7
被引用文献数
2 1

本研究では、高温蓄熱システムに使用される溶融硝酸塩と粒状マグネシアに関してそれぞれの熱伝導率及びそれらの混合物の有効熱伝導率を測定し、その熱伝導特性を検討した。熱伝導率及び有効熱伝導率は非定常細線加熱法により423Kから703Kの範囲で測定した。溶融硝酸塩と粒状マグネシアの混合物の有効熱伝導率は体積分率を変えて測定した。実験結果はMaxwellの式及びKunii-Smithの式から計算された値と比較し解析を行った。
著者
澤村 精治
出版者
日本熱物性学会
雑誌
熱物性 (ISSN:0913946X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.36-40, 1993-01-30 (Released:2010-03-16)
参考文献数
39
被引用文献数
2 3

高圧力下の固体の水への溶解度を (1) 高圧溶解度測定法 (2) 有機化合物の溶解度 (3) 無機化合物の溶解度に分けて、 データも含めて紹介した。 熱力学的には圧力と体積は相補的関係にあり、 高圧力下の溶解度から体積の情報が得られる。 逆に体積の情報から高圧力下の溶解度が推定できうることおよびそこでの注意点を示した。