著者
栗原 義夫 山下 久美子
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.18-25, 2020-01-30 (Released:2020-01-30)
参考文献数
18

Sodium-glucose cotransporter 2(以下SGLT2と略す)阻害薬は血糖降下作用と様々な代謝改善効果が報告されているが,ごく最近,本剤の投与により糖尿病腎症1~2期の患者において,その推算糸球体濾過率(以下eGFRと略す)の改善が報告された.そこで,3年以上SGLT2阻害薬を服用している当院通院中の2型糖尿病患者111名(腎症1期68 %,2期27 %,3期5 %)の各パラメーターの推移を後ろ向きに検討した結果,SGLT2阻害薬服用者では3年後の体重,血圧,HbA1c,AST,ALT,γ-GT,LDL-C,尿酸はいずれも有意に低下しており,HDL-C,Hctは有意に増加していた.さらにeGFRは2年後より有意な増加が続くことが認められたことから,本剤は腎機能が比較的保たれている患者において腎機能改善効果を有している可能性があることが示唆された.
著者
栗原 義夫 山下 久美子
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.892-896, 2013-11-30 (Released:2013-12-03)
参考文献数
7

スルホニル尿素薬(以下SU薬)を含む経口血糖降下剤治療にdipeptidyl peptidase-4(以下DPP-4)阻害薬を追加した当院通院中の2型糖尿病患者219例を対象に,SU薬の用量調節について後ろ向きに検討を行った.SU薬を減量せずにシタグリプチンを追加した169例では,3ヵ月以内に低血糖症状の発現や低血糖予防のためにSU薬を減量された者が46例(27 %)あった.そのうちRecommendation以下のSU薬を服用していた者が9例(20 %)あった.また,SU薬をその量に関係なくほぼ半減しシタグリプチンを追加した50例の患者では低血糖症状の発現はなく,HbA1cの低下幅はSU薬を減量しなかった患者と有意差を認めなかった(-0.9 % vs -0.9 %,p=0.95).以上よりSU薬にDPP-4阻害薬を追加する時には,SU薬はその量に関係なく一旦半減するのが適切な調節であると考える.