著者
栗岡 理子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.168-177, 2017

ノバスコシア州は,カナダで唯一埋立ごみ半減に成功した州である。現在も目標を定め,ごみ減量に熱心に取り組んでいる。同州の廃棄物政策の中核には,飲料容器のハーフバック・デポジット制度が据えられている。筆者は,同制度が廃棄物政策に果たしている役割を調査するため,ノバスコシア州を訪れた。その結果,ハーフバック制は環境対策財源機能を有した環境賦課金制度であり,それにより得られた資金は廃棄物政策に役立てられていた。すなわち,ハーフバック制では,リターナブル容器のデポジットは全額返金されるが,ワンウェイ容器は半額しか返金されない。その未返却デポジットは制度運営に使われ,余剰はごみ減量努力に応じて自治体へ分配されるなどしている。<br>また,ハーフバック制を図示し経済学的に考察することにより,ハーフバック制には賦課金的性格があることを確認した。