著者
山本 零 川代 尚哉 栗田 昌孝
出版者
一般社団法人 日本金融・証券計量・工学学会
雑誌
ジャフィー・ジャーナル (ISSN:24344702)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.46-62, 2020 (Released:2020-05-16)
参考文献数
20

本論文ではテキスト媒体として決算短信と会社四季報に着目し,それらの媒体から共通のテキストマイニング手法で投資情報を抽出することで,両媒体のテキスト情報の特性を比較してその投資情報としての価値を評価した.その結果,両媒体は企業の業績情報を示す類似のテキスト情報ではあるが,含まれている情報は異なっており,投資情報としても異なる効果を持つことが分かった.また両媒体のテキスト情報から抽出された投資情報は,既存の投資戦略とは異なる高い有効性を持ち,特に両媒体に含まれる数値情報の効果を除いても有効性が高い,つまりテキスト情報そのものに投資価値が含まれていることが分かった.これらの効果はサイズ,業種の要因を調整し,売買コストを考慮したものであり,本論文の分析で決算短信,会社四季報から抽出した投資情報は新しい超過収益の源泉になりえることが分かった.