著者
根岸 洋・長谷川 綾子
出版者
公立大学法人 国際教養大学 アジア地域研究連携機構
雑誌
国際教養大学 アジア地域研究連携機構研究紀要 (ISSN:21895554)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.65-79, 2019 (Released:2019-06-28)

1973 年に重要無形民俗文化財に登録された「男鹿のナマハゲ」は、秋田県を代表する観光資源であり、2018 年に「来訪神:仮面・仮装の神々」の一つとしてユネスコの無形文化遺産に選ばれ世界に知られることになった。反面、若者によって担われてきた本行事は少子高齢化による後継者不足に悩まされており、観光客や外国人等の外部参加者の受け入れを始めた地区もある。本稿では、男鹿半島各地の集落に伝わる伝統行事であったナマハゲが、観光資源としての「なまはげ」に変容してきた経緯を振り返る。他方、昭和・平成に実施されたアンケート調査の比較を通じて、伝統行事としての諸要素が時代の要請に応じて変容したことを論じる。外国人留学生も受け入れている椿・双六での聞き取り調査を紹介し、無形文化遺産としての真実性を何に求めるべきか考察を行う。