著者
桃木 芳枝 中谷 素之
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.101-111, 2016-11-01 (Released:2016-09-13)
参考文献数
29
被引用文献数
1

本研究では性役割意識が認知スタイルを介してメンタルヘルスに与える影響を検討した。調査は認知スタイルを測定する共感とシステム化の尺度,Bem性役割尺度(BSRI),およびメンタルヘルスを測定するHopkins Symptom Checklistに基づいた尺度を用いて大学生981名を対象に質問紙法で行った。先に,共感・システム化の各下位尺度の特徴を明らかにした。階層的重回帰分析の結果,性役割意識とメンタルヘルス間で認知スタイルが媒介変数として機能していることが示唆された。男女ともに,性役割意識は認知スタイルに正の影響を与えた。男性性と女性性によって媒介された共感は,有意に良好な影響をメンタルヘルスに与えた。さらに,女性では男性性,または男性性と女性性に媒介されたシステム化はメンタルヘルスに悪影響を与える可能性を示した。すなわち,女性だけに性役割が関わるシステム化の在り方に多様化がみられた。
著者
桃木 芳枝 中谷 素之
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.221-234, 2019-03-01 (Released:2019-03-12)
参考文献数
32

本研究では対人ストレスを負荷した認知的評価/コーピング過程での共感―システム化の機能をメンタルヘルスの状態(心理的ストレス症状)との関連で検討した。学部学生1,090名から得られた質問紙について構造方程式モデリングによる分析を行った。その結果,共感―システム化が認知的評価に影響を与え,影響を受けた認知的評価がコーピングの選択に影響を及ぼすことが確認された。そして,選択されたコーピングが心理的ストレス症状に正あるいは負の影響を与えた。すなわち,認知スタイルは,認知的評価を媒介としてコーピングに影響を及ぼすことが示された。部分的に,コーピングには,共感およびシステム化からの直接のパスもみられた。コーピングと心理的ストレス症状の関係において,肯定的解釈/気晴らしは心理的ストレス症状を弱め,一方,問題回避は心理的ストレス症状を強めた。性差は,問題解決/サポート希求と心理的ストレス症状との関係でみられた。
著者
桃木 芳枝 中谷 素之
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.101-111, 2016
被引用文献数
1

<p>本研究では性役割意識が認知スタイルを介してメンタルヘルスに与える影響を検討した。調査は認知スタイルを測定する共感とシステム化の尺度,Bem性役割尺度(BSRI),およびメンタルヘルスを測定するHopkins Symptom Checklistに基づいた尺度を用いて大学生981名を対象に質問紙法で行った。先に,共感・システム化の各下位尺度の特徴を明らかにした。階層的重回帰分析の結果,性役割意識とメンタルヘルス間で認知スタイルが媒介変数として機能していることが示唆された。男女ともに,性役割意識は認知スタイルに正の影響を与えた。男性性と女性性によって媒介された共感は,有意に良好な影響をメンタルヘルスに与えた。さらに,女性では男性性,または男性性と女性性に媒介されたシステム化はメンタルヘルスに悪影響を与える可能性を示した。すなわち,女性だけに性役割が関わるシステム化の在り方に多様化がみられた。</p>