著者
山本 嘉人 斎藤 吉満 桐田 博光 林 治雄 西村 格
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.307-314, 1997-01-31
被引用文献数
12 1

関東に位置するススキ型草地に火入れ,刈取り,放牧あるいはこれらの組み合わせ等の異なる人為圧を加え続けた。20年間にわたる定置枠の植生調査のデータから,草種ごとの拡張積算優占度を算出し,主成分分析によって人為条件の差異に応じた植生遷移の方向を表現することを試みた。第1および第2主成分と主要な群落構成種25種との相関関係から,第1主成分はススキ,シバで代表される放牧圧の有無に関わる成分,いいかえれば放牧による偏向遷移を表すと考えられた。縦軸の第2主成分は高木とつる植物で代表される人為的撹乱の有無にかかわる成分,いいかえれば進行遷移を表すと考えられた。これら2つの主成分を軸として,各処理区,各年次の群落のデータをプロットした結果,散布図上で,7処理区の群落データ群は処理開始後の年次経過とともに分離する傾向を示し,処理に応じた遷移の方向を示した。