著者
桑島 巖
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.67-74, 2019-08-27 (Released:2019-10-07)
参考文献数
4
被引用文献数
2

ディオバン臨床研究不正事件とは,製薬会社ノバルティス社が発売する高血圧治療薬ディオバンの有効性を検証した 5 つの大規模臨床試験において論文不正が明らかになるとともに社員が統計解析などに深く関与していた事件である.本事件ではノバルティス社元社員が逮捕され,裁判になるという臨床研究の分野では極めて異例の事態にまで発展した.裁判は,元社員の不正な関与と改ざん行為は認定したが,論文作成は法律で定める広告には当たらないとの解釈によって 1 審,2 審とも無罪となった. 本事件を契機として臨床研究法が制定されたが,事件の根幹にあるものは製薬企業と研究者の医療モラルの低下である.
著者
桑島 巖
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.67-74, 2019
被引用文献数
2

<p>ディオバン臨床研究不正事件とは,製薬会社ノバルティス社が発売する高血圧治療薬ディオバンの有効性を検証した 5 つの大規模臨床試験において論文不正が明らかになるとともに社員が統計解析などに深く関与していた事件である.本事件ではノバルティス社元社員が逮捕され,裁判になるという臨床研究の分野では極めて異例の事態にまで発展した.</p><p>裁判は,元社員の不正な関与と改ざん行為は認定したが,論文作成は法律で定める広告には当たらないとの解釈によって 1 審,2 審とも無罪となった. </p><p>本事件を契機として臨床研究法が制定されたが,事件の根幹にあるものは製薬企業と研究者の医療モラルの低下である.</p>