著者
鳥本 司 亀山 達矢 上松 太郎 桑畑 進
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.87, no.12, pp.430-435, 2014-12-20 (Released:2015-03-20)
参考文献数
26

量子サイズ効果を示す半導体ナノ粒子(量子ドット)は,バルク半導体とは異なった特徴的な物理化学特性を示すことから,発光材料・デバイスへの応用を目指して活発に研究されている。これまでは,おもにCdSe,CdTe,PbSなどの二元系半導体を用いて,液相合成法により高品質ナノ粒子が作製されてきた。しかし近年,低毒性半導体ナノ粒子で,紫外-可視-近赤外光領域で大きな吸収を示すCuInS2やAgInS2などのカルコパイライト型半導体が注目されている。これらの半導体はZnSなどの異なる半導体と固溶体を形成し,そのバンドギャップは固溶体組成の制御によって自在に変調できる。本稿では,従来から盛んに研究されている代表的な量子ドットであるCd系のII-VI族半導体ナノ粒子と,実用面から最近注目され始めた低毒性化合物半導体ナノ粒子について,その合成法と光機能特性を著者らの研究を中心に紹介する。