著者
梅原 淳
出版者
Japan Society of Neurovegetative Research
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.2-5, 2023 (Released:2023-04-03)
参考文献数
30

パーキンソン病(PD)の自律神経障害は,PD前駆期から始まり疾患発症を予測する臨床的バイオマーカーとして有用である.またαシヌクレインの伝播には,脳幹上行仮説における迷走神経だけでなく,交感神経路も重要な役割を果たしている可能性がある.PDの起立性低血圧(OH)は,末梢交感神経だけでなく中枢交感神経障害に起因すると推測され,認知機能低下とも密接な関係を持つ.OHの治療には,附随する臥位性高血圧の存在を考慮し,非薬物療法を十分実施することが必要である.一方,薬物治療では昇圧剤の内服だけでなく,交感神経節前線維機能を高める抗コリンエステラーゼ薬の併用が有効と思われる.
著者
岡 尚省 梅原 淳
出版者
日本自律神経学会
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.2-6, 2020 (Released:2020-04-02)
参考文献数
31

Parkinson病(PD)では多彩な非運動症状を認め,進行例では起立性低血圧(OH)を約50%,認知機能障害を約80%の症例で認めるとされている.OHと認知機能障害はPD患者のADL・QOLに大きな影響を及ぼす.食事性低血圧(PPH)でも脳虚血病変が増悪し,臥位性高血圧(SH),夜間高血圧(NH)も認知機能障害と関連している.PPH,SHなどの血圧循環障害が引き起こす血圧日内変動はPDの認知機能障害の発症と進展に密接に関連している.PDにおける血圧循環障害による認知機能低下に対して,OHの是正に加えてSHやNHを惹起しないよう考慮した対策も必要と考えられる.