- 著者
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真塩 紀人
平林 弦大
梅津 聡
小山 裕司
- 出版者
- 公益社団法人日本理学療法士協会
- 雑誌
- 日本理学療法学術大会 (ISSN:02893770)
- 巻号頁・発行日
- vol.2004, pp.G1148-G1148, 2005
【目的】近年、在宅での吸引に関してヘルパーや家族が医療行為を行う事に対する可否が問われる中、病院の臨床でも我々リハビリスタッフ(以下、スタッフ)は、吸引に限らず日々患者の体調急変などの問題に直面する。そこで今回、医療安全管理の観点から、現場の声として如何にスタッフがこれらの不安要素を感じながら仕事をしているのかに着目し、また他職種への要望を含めアンケート調査を行ったので以下に報告する。<BR>【対象・方法】当院スタッフ50名を対象とし、経験年数も考慮した。無記名選択記述方式にて以下のアンケート調査を実施。1.呼吸リハビリなどをリハ室でも行いたいが、吸引の頻度が多い為病棟で実施している。2.糖尿病患者のリハ中、低血糖症状に遭遇したことがあるか。対応して不安はあるか。3.リハ室でバイタルサインの変化に苦慮したことがあるか。DrやNrsに助けて欲しいと思ったことはあるか。4.講習会など開いて欲しい事。Nrsなど他職種に教えて貰いたい事はあるか。<BR>【結果】有効回答率は96.0%。「はい」と回答した人数は、1.病棟で実施せざるを得ない7名(14.0%)であった。2.低血糖症状に遭遇し、不安はある14名(28.0%)であった。3.バイタルサインへの苦慮は、28名(56.0%)。また、職種別に見てもPT、OTに関しては25名(50.0%)で全体の半数であった。経験別に見ると1年目のスタッフに関して「はい」と回答したものが、1・2の項目で13.3%(2/15)と少数であった。経験2,3年目でも同様に1~2の項目に関して25%以下の結果となった。それに比し、4年目では項目3.で57%。5年目以上では1・2の項目で25%、3.で75%であった。<BR>【考察】日頃のリハビリ業務の中で、スタッフが苦慮している事が前述のアンケート結果から推察される。着目すべき点は、1.に関してはリスクを背負うより、病棟のDrやNrsの元でリハビリを行いたいという意見もあり、現状としてNrsに吸引などの医療処置に関して依頼せざるを得ないことが伺える。また、3.に関してはバイタルサイン(特に血圧)の変化に苦慮した経験があり、DrやNrsの指示を必要としている。また職種・経験年数に関係なく、一応に経験している。結果、全体の半数以上28名(56.0%)であった。一方、項目1・2に関しては経験年数が上がるごとに「はい」の回答が多い。当然、患者に接している期間・人数の差によると考えられる。他職種への要望としては、点滴関連・痰の吸引・人工呼吸器・急変時のリスク管理が主たる要望であった。今回の結果を通して、日常我々は職種・経験を問わず共通する意見や不安を抱えている事が分かる。しかしながら、業務として必要に迫られても施行可能な範囲に限定があるのも事実である。今後、リスク管理も含め知識の習得が必要と思われる。