著者
池田 康紀 田村 光信 梅津 英央 田村 元彦 小林 哲 杉田 和彦 知元 正行 長井 千輔 嶋田 晃一郎
出版者
小松島赤十字病院
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.38-43, 1999
被引用文献数
1

症例は68歳男性, 1997年11月の検診にて左上肺野異常陰影を指摘されるも98年6月になって当科入院。入院後の気管支鏡検査にて左B^3aの扁平上皮癌と診断。3週間後の待機手術となったため, 気管支鏡施行後3日目に一時退院となった。退院当日より感冒症状出現し, その後39℃台の発熱が持続したため再入院となった。再入院時の胸部X線上, 左上肺野に肺炎像を認め, 翌日には鏡面像を伴う空洞を認めたため肺膿瘍と診断した。抗生物質はCTM, CLDMを投与するも解熱傾向はみられなかった。しかしCZOPに変更後36℃台に解熱したため, 左上葉切除及びリンパ節郭清術を施行した。術後病理診断において2.5×1.0cm大の腫瘍とその末梢に約4.5×4.0cm大の膿瘍を認めた。腫瘍はT1N0M0, stage I期の扁平上皮癌であった。また術中採取した膿の培養にて起因菌がKlebsiella pneumoniaeと判明した。