著者
松橋 延壽 永田 高康 立花 進 浅野 雅嘉 梶間 敏彦 土屋 十次
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.33, no.9, pp.1724-1728, 2000-09-01
被引用文献数
7

超音波検査にて術前診断可能であった閉鎖孔ヘルニアの5例を経験した.症例は女性4例, 男性1例.右側3例, 左側2例.全例痩せ型で, 平均年齢は83.8歳と高齢であった.主訴は5例とも腹痛, 嘔気でイレウス症状を呈していた.また, Howship-Romberg徴候は術前3例に確認した.閉鎖孔ヘルニアを術前疑い全例に超音波検査を施行し, 小腸の閉鎖孔への嵌入を確認した.症状発生から手術までの期間は, 1日から最長24日で平均10.6日であった.嵌入形態は3例がRichter型であり, 嵌入部位は回盲部から50〜100cmの小腸であった.術式は3例が小腸人工肛門(二連銃式), 1例が15cmの腸切除, 1例が整復解除のみであった.ヘルニア門の処理は単純縫合閉鎖が3例, mesh plugによる補強が2例であった.なお, 人工肛門は後日閉鎖し全例生存中である.