著者
松本 綾希子 梁 太一 澤泉 雅之 前田 拓摩 棚倉 健太 宮下 宏紀 岩瀬 拓士 五味 直哉
出版者
一般社団法人 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
雑誌
Oncoplastic Breast Surgery (ISSN:24324647)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.64-74, 2016-12-26 (Released:2016-12-26)
参考文献数
19

シリコーン乳房インプラント (SBI) による乳房再建後には, 定期的な画像検査を行うことが推奨されている。今回われわれは, SBI による乳房再建および対側豊胸術後3年以上経過し無症状の SBI 829個に対して破損スクリーニング検査として超音波検査を実施し, 10個に明らかな破損を, 17個に軽微な破損を疑う所見を認めた。明らかに破損した症例では, 被膜と外殻の分離および内部シリコーンゲルの高エコー化がおもな超音波検査所見であった。また, 内部の液体貯留所見や外殻のわずかな破綻などの軽微な所見であれば, 注意深い経過観察が必要であると考えられた。明らかに破損した症例については SBI 入れ替えが推奨されるが, 軽微な所見であれば経過観察し, 適切な時期に交換を行って患者の QOL を損なわないように努めるべきである。また, 専門施設のみならず検診施設においてもスクリーニングが可能となるよう, 異常所見を周知する必要がある。
著者
山下 昌宏 澤泉 雅之 前田 拓摩 棚倉 健太 宮下 宏紀 松本 綾希子 岩瀬 拓士 大野 真司
出版者
一般社団法人 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
雑誌
Oncoplastic Breast Surgery (ISSN:24324647)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.25-31, 2016-12-25 (Released:2016-12-26)
参考文献数
10

ティッシュエキスパンダー (以下TE) の留置は, さまざまな要因により延長される場合がある。今回われわれは留置が2年以上経過した症例を長期例とし, 期間, 要因および合併症を検討した。2006年1月から2012年12月の期間に TE を挿入した一次乳房再建例は740例であり, このうち長期例は30例 (4.1%) であった。長期留置30例の関連合併症は破損が4例 (13%) で, いずれも生理食塩水の漏出が緩徐な slow puncture であった。ほかに入れ替えを要する感染等は認められなかった。 長期留置の要因としては, 化学療法の影響やその合併症等が多数を占めたが, 他疾患の合併や患者事情により延期せざるを得ないことがある。その結果, TE の破損率は上昇すると予想されるが, 合併症によって緊急な処置を迫られるものではなく, 患者への IC を含め状況に応じた対応が必要である。