著者
久我 龍一郎 森 寛晃 小川 彰一
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.34-40, 2013-02-25 (Released:2013-12-02)
参考文献数
21
被引用文献数
1

CaCl2による化学的劣化の一要因と考えられている3CaO・CaCl2・15H2Oについて、セメント硬化体における3CaO・CaCl2・15H2O生成におよぼすCaCl2溶液濃度、および環境温度の影響を、実験的検討と熱力学的相平衡計算から検討した。CaCl2溶液へのセメント硬化体の浸漬では、より高い濃度CaCl2溶液への浸漬と、より低い温度環境で、Ca(OH)2は消失し3CaO・CaCl2・15H2Oが生成した。熱力学的相平衡計算から求めた構成相の変化は実験結果と概ね一致し、計算結果から3CaO・CaCl2・15H2O生成に伴って水和物の総体積が増大した。セメント硬化体の浸漬試験から、3CaO・CaCl2・15H2O生成が体積膨張の原因と推定した。