著者
南 基泰 森 高子 米村 惣太郎
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.360-364, 2018-11-30 (Released:2019-05-14)
参考文献数
13
被引用文献数
1

横浜市においてイロハモミジ(Acer palmatum),ヤブツバキ(Camellia japonica)及びヤマザクラ(Cerasus jamasakura)を用いた地域性に配慮した緑化工を実施するために,葉緑体DNA情報を利用した地域性判定技術の開発を行った。地域性判定に用いる葉緑体DNA領域を検索するために,これら3樹種の新鮮葉(もしくは越冬芽)を東北から南九州の地域で網羅的に採集し,葉緑体DNAの遺伝子間領域及びイントロンの合計16領域のDNA多型を検索した。その結果,横浜市の地域性を判定できるDNA領域として,イロハモミジはtrnV-trnM遺伝子間領域,ヤブツバキはtrnT-trnL遺伝子間領域,ヤマザクラはtrnH-trnK遺伝子間領域を見出した。関東地区の種苗会社で育成されている地域性が不明なこれら3樹種の苗木から,本技術を用いて横浜市の地域性に適合した苗木を選抜し,外構植栽に用いることができた。また,本技術は3樹種の横浜市だけでなく,東北から南九州の地域性も判定することが可能な技術であることから,今後はこれら3樹種の地域性判定への応用にも期待できると考えられた。