著者
土屋 雅春 島袋 嘉修 朝倉 均 水野 嘉夫 小田 義英 小野 明 森実 敏夫 山中 郁夫 辻 公美
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.989-997, 1974-10-05 (Released:2011-06-17)
参考文献数
20
被引用文献数
4

潰瘍性大腸炎において免疫学的追及を行ない胸腺T-cell系異常及びHL-Aに関し以下の知見を得た.1. 胸腺は全例Pneumomediastinography上大きく, レ線密度が強い. 組織学的には10例中6例にリンパ濾胞が証明された.2. 胸腺内T-cellは全例末梢血に比し高値であり胸腺はT-cell poolの場と考えられる.3. 末梢血T-cellは一定の傾向をみないが, PHA刺激試験12例中9例, DNCB試験9例中5例に反応性の低下を認めた.4. ヒト胎児大腸粘膜を添加した白血球遊走阻止試験で9例中7例に遊走阻止が認められた.5. 日本人の潰瘍性大腸炎35例で追及したHL-A検索では, HL-A 9及びHL-A 5が統計学的有意差で高率に認められた.