- 著者
-
大井 裕子
菊谷 武
田中 公美
加藤 陽子
森山 久美
- 出版者
- 日本緩和医療学会
- 雑誌
- Palliative Care Research (ISSN:18805302)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, no.2, pp.117-122, 2023 (Released:2023-04-19)
- 参考文献数
- 17
筆者らは,終末期がん患者の現状を確認するツールとしてIMADOKOを考案し在宅チームで使用している.今回,IMADOKOが,終末期がん患者と家族のよりよい療養場所の意思決定支援に及ぼす影響について明らかにするため看取りの実態を後方視的に調査した.対象患者はIMADOKO導入前の64名(男性/女性38/26名)と導入後の140名(男性/女性78/62名),平均年齢はいずれも74歳で主な原発巣は,膵臓,呼吸器,消化管であった.IMADOKO導入により在宅看取り率は有意に上昇した.IMADOKO導入後,IMADOKOは108名の患者とすべての家族に使用した.患者へのIMADOKO使用は看取り場所に関連を認めなかったが,患者と家族,患者家族対医療スタッフのコミュニケーションが有意に良好になった.IMADOKOは,よりよい療養場所選択の意思決定支援において有用である可能性がある.