著者
森本 侃 岩田 徹 江崎 昭彦 坂田 眞砂代 平山 忠一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.8, pp.726-730, 1994-08-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1

ポリエチレンイミンを配位子とし,セルロースをマトリックスとする繊維状吸着剤(Ce11-PEI)を調製し,この吸着剤を用いて,種々のタンパク質水溶液からのエンドトキシン選択吸着除去を試みた。CeH-PEIのアニオン交換容量は,調製時のビスコースに対するポリエチレンイミンの添加量を調節することにより容易に制御できた。同吸着剤のエンドトキシン吸着能は,吸着剤のアニオン交換容量の増大とともに増大し,吸着時のイオン強度の上昇とともに低下した。しかしながら,同吸着剤(アニオン交換容量1.1-3.4meq/g)は幅広いイオン強度域(μ=0.05-0,4)で,高いエンドトキシン吸着能を保持した。さらに,同吸着剤(アニオン交換容量1.1meq/g)を用いて,エンドトキシンを添加したウシ血清アルブミン(BSA)水溶液中からのエンドトキシンの選択吸着除去を試みたところ,イオン強度μ=0.05-0.2,中性付近のpH域下で,BSAをほとんど吸着することなく,エンドトキシンのみの選択的吸着除去ができた。