- 著者
-
垣迫 健二
桑原 亮彦
多田 出
森本 章生
小林 迫夫
- 出版者
- Japan Surgical Association
- 雑誌
- 日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.8, pp.2097-2101, 1993-08-25 (Released:2009-01-22)
- 参考文献数
- 22
- 被引用文献数
-
1
Chilaiditi症候群は,右横隔膜と肝臓の間に消化管の一部が嵌入した総称であるが,本症候群には特有の症状がなく,偶然に発見されることが多いと言われている.今回われわれは,右横隔膜下に回腸が嵌入し,絞扼性イレウスを呈した症例を経験した.症例は67歳男性で,右季肋部痛を主訴に近医により紹介され入院となった.腹部所見,腹部X線検査, CT検査などの結果,絞扼性イレウスを合併したChilaiditi症候群と診断し,緊急手術を施行した.肝右葉と腹膜との間に既往の肝炎によると思われる索状物を認め,同部に回腸の一部が嵌入,絞扼し壊死を伴っていた.小腸型のChilaiditi症候群は稀な疾患であり,文献検索上,本例では13例を数えるに過ぎないが,そのうち7例で絞扼性イレウスが認められた.小腸型のChilaiditi症候群では,絞扼性イレウスを合併することが多く,注意が必要であると考えられる.