著者
植木 智一
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.129, no.4, pp.276-280, 2007 (Released:2007-04-13)
参考文献数
11
被引用文献数
3

1990年代に欧米の製薬企業で相次いで導入された高速大量スクリーニング(HTS)は,標的分子に親和性を有する化合物の探索の重要な手段として利用されている.その規模は,現在百万化合物を超える化合物ライブラリーを対象にしたスクリーニングに達している.このようなスクリーニング規模に到達した要因として測定技術をはじめとする多くの分野での技術革新が挙げられる.また,HTSの技術利用は,従来の創薬研究の初期段階である「新薬候補化合物の探索」からリード化合物選定に重要な安全動態分野である肝代謝試験,変異原性試験等へ拡大しており,創薬研究の重要な基盤技術となっている.一方,このように応用範囲が拡大するにつれて,予想外な課題や問題点も浮き彫りになってきた.この重要な創薬基盤と位置づけられる高速大量スクリーニングの現状と今後の展望について紹介する.