著者
植田 紘貴
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

胃食道逆流症は胃内容物が食道内に逆流する疾患であり、食道内への刺激により胸痛や吐き気を生じる。その治療法は、胃酸分泌抑制剤を用いた対処療法が中心である。本研究は、内臓感覚を中枢に伝達する経路である迷走神経に着目し、迷走神経の実験的刺激が唾液分泌や顎口腔機能に与える影響と胃酸分泌抑制剤が唾液分泌に与える影響を検討した。その結果、迷走神経刺激は唾液分泌を誘発することが示された。また、胃酸分泌抑制剤は、迷走神経刺激により誘発された唾液分泌をさらに増大することが示唆された。以上から、迷走神経刺激による内臓感覚の賦活化が口腔生理機能の制御に関与する可能性が示唆された。