著者
椎名 英貴
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.203-208, 2019 (Released:2020-04-28)
参考文献数
13

重症脳性麻痺児の多くは摂食嚥下に何らかの困難さを有している。摂食嚥下機能の到達レベルは児の重症度により規定され,経口摂取が困難な児の割合も多い。また,発達期の障害であることから援助は長期にわたり,年代により焦点となる問題は変化する。摂食嚥下リハビリテーションの基盤は適切な予後予測と医学的管理にある。リハビリテーションの実際では食事姿勢の設定,食物形態の調整,口腔運動機能へのアプローチが柱となる。異常緊張の低減と食事のための姿勢設定は食事援助の中でも大きな領域を占める。口腔運動機能の過敏性,緊張性咬反射,舌突出,などの神経学的な異常性に対しては症状に合わせた対応を行う。療法士が行う姿勢のコントロール,口腔器官への対応方法を家庭の中で実現するための指導が必要である。実現のためには言語聴覚士のみならず理学・作業療法士との協働,さらには座位保持装置など環境整備の必要性も高い。