著者
楠木 行雄
出版者
一般財団法人 運輸総合研究所
雑誌
運輸政策研究 (ISSN:13443348)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.002-010, 2015-04-24 (Released:2019-02-12)
参考文献数
49

大手民鉄の大都市の路線に対する外資ファンドの廃止要求が株式の公開買付けに際して明らかになり,外為法の規制の適用,個別法への外資規制の導入,事業廃止規制の復活が要望されている.対象の5線のうち4線は輸送密度が8千人を超えているが,5線すべてが赤字と推定される.この問題は鉄道業の収支構造からみて他の大手民鉄にも可能性があり,大部分の大手民鉄には買収防衛策があるが機能しないこともありうる.しかし外為法の適用は容易でなく,外資規制の導入は前提条件に欠ける.鉄道特性のある路線の廃止の申請は,鉄道事業法が想定していなかったことであるので,事業廃止の部分認可制の創設又は事業改善命令の活用が必要である.
著者
楠木 行雄
出版者
一般財団法人 運輸総合研究所
雑誌
運輸政策研究 (ISSN:13443348)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.010-021, 2011-01-31 (Released:2019-05-31)
参考文献数
43

2010年8月に開始された「東京の地下鉄の一元化等に関する協議会」は,国,東京都,東京メトロのそれぞれの主張があって,難航の兆しがある.本稿は,都営地下鉄とメトロの統合,メトロの完全民営化及び利用者サービス改善の関係を歴史的な経緯から,分析するとともに,これまでの著作で分析の重点になかった最近の一元化についての都の主張の背景を探求した.また,本稿では,各種調整手段に関連して統合や運賃水準統一の是非を検討するとともに,交通調整の根拠であった陸上交通事業調整法がまだ生きていることから,その復活適用の可能性や独占禁止法との関係についても論じた.