著者
楠木 豊
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.13-21, 1971-05-30 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6

1. '69年1月から5月まで広島県下の五日市, 音戸, 三高, 安芸津のカキ養殖場で, 毎月1回海水中色素量と, そこに養殖されているカキの消化盲のうの加熱による緑変を調べた。又培養藻類でカキを飼育し, 消化盲のう中の色素との関係をみた。2. 消化盲のう部の色は1月が最も濃く, 月とともにうすくなる傾向にある。又場所別にはカキの成長の良いところが色が濃い。3. この緑変の程度は, カキの体内に取り入れられる海水中色素量と密接な関連が認められた。4. 消化盲のう部の色の変化は速かで, 5日程で, その前の影響は殆んどなくなる。5. 人工飼育したカキの消化盲のう部の色素は, 給餌したプランクトンの色素と同じ吸収曲線を描いている。6. これらのことから, 緑変の色素は海水中の植物プランクトンに由来することが認められた。