著者
若林 明子 菊地 幹夫 井上 亙 川原 浩 古井戸 良雄
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.119-124, 1975-12-25 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10

界面活性剤の水棲生物に対する影響をヒメダカに対する半数致死濃度測定で調べた。界面活性剤はn-ラウリル硫酸ナトリウム (C12-AS), n-ミリスチル硫酸ナトリウム (C14-AS), n-セチル酸ナトリウム (C16-AS), 直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム (LAS) および脂肪酸ナトリウム塩 (セッケン) を用いた。ASは蒸留水中でLASとセッケンについては蒸留水および人工軟水中で試験を行なった。これらの界面活性剤の蒸留水中の毒性はC16-AS>セッケン=C14-AS>LAS>C12-ASの順であり, ASはアルキル基の長短により毒性が大きく異なった。LASは人工軟水中で共存塩の影響を強く受けて毒性が増大するが, セッケンは反対に毒性が急激に減少し, LASに比較して毒性はずっと小さくなる。したがって実際の河川水中の毒性はC16-AS>C14-AS>LAS>C12-AS>セッケンの順となる。
著者
Viliame Waqalevu 松井 英明 本田 晃伸 Serge Dossou 山本 淳 塩崎 一弘 小谷 知也
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.139-155, 2019-06-20 (Released:2020-06-20)
参考文献数
71

Brachionus plicatilis 複合種 SS および L 型に及ぼす3 種の栄養強化剤(DHA 強化クロレラ,冷凍ナンノクロロプシスおよび乳化筋子油)の餌料効果を比べた(対照区:濃縮淡水クロレラ)。両型ワムシの増殖速度と脂肪酸含量は試験区間で変化した。 非極性脂質と極性脂質の含量はワムシ型間で変化した。可溶性タンパク質は両型で DHA 強化クロレラおよび生クロレラ給餌で多かった。冷凍ナンノクロロプシスを除いた全ての試験区で,SS 型の可溶性タンパク質含量は L 型よりも高かった。 ワムシ型に応じて,培養方法,強化剤の投与量および脂肪酸要求量を考慮する必要がある。
著者
中島 淳 鬼倉 徳雄 及川 信 松井 誠一
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.515-519, 2006-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
36

カマツカの水槽飼育自然産出卵を用いて, 卵の孵化率, 孵化所要日数に及ぼす水温の影響を11~31℃で調べた。全孵化率は14~27℃で水温に拘らずほぼ一定で60%以上であり, この温度範囲で全孵化仔魚に占める正常孵化率はほぼ100%であった。したがってこの温度範囲が本種の最適孵化水温と考えられる。この最適孵化水温の範囲はこれまで知られている魚類の中では最も広い。本種は河川の上流から下流まで広く分布することが知られている。したがって本種の広い最適孵化水温の範囲が, 広い流程分布を可能にしている要因の一つと考えられる。
著者
中島 淳
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.65-70, 2015-03-20 (Released:2015-06-20)
参考文献数
35

コイ科魚類カマツカの野外における産卵・初期生態の一端を解明するため,福岡県那珂川において,目視による成魚の出現数と流下ネットによる卵・仔魚流下数の24時間調査を3回行った。本種成魚は夜間にのみ合計64個体が観察され,メス成魚は20~1時に,オス成魚は20~5時に出現した。流下卵は合計11293粒を採集し,21~2時にもっとも多かった。一方で仔魚の流下はほとんど確認できなかった。これらのことから,オスは夜間に産卵場付近でメスの出現を待つこと,本種の産卵は日没後の20時から1時頃の間に行われること,産出卵は河川を流下すること,仔魚は流下しないことが明らかとなった。
著者
瀧川 由宇登 森 勇人 関 伸吾 小松 章博 谷口 順彦
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.477-483, 1994-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
11

マダイにおける第一卵割阻止型雌性発生二倍体 (mitotic-G2n) 誘導のための最適条件の検討を行った。染色体の倍数化は高水圧処理法を用いた。高水圧処理の媒精後処理開始時間, 処理水圧, 処理時間の組み合わせにより条件検討を行いそれぞれの試験区でビーカー試験により孵化率, 正常二倍体孵化率, および半数体孵化率を求めた。mitotic-G2nの誘導に最適と考えられる条件は高水圧処理の媒精後処理開始時間45分, 処理水圧700kg/cm2, 処理時間5分であり, この場合の孵化率は35.06%, 正常二倍体孵化率は53.41%, 半数体孵化率は46.59%であった。しかし, 異数体と思われる個体の出現が多く変態期は大量へい死もみられたことから, さらに最適条件の検討を重ねる必要性が示唆された。
著者
中坪 俊之 川地 将裕 間野 伸宏 廣瀬 一美
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.259-264, 2007-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
13

マンボウの成熟度の指標について調べるため, 合計328尾の飼育魚および天然魚を用い, 魚類の成熟度指数として利用されているGSIおよびKGについて比較検討した結果, GSIとKGの間には強い相関が認められた。屋外でのBW測定の難しさからみて, マンボウの成熟度の調査では, KGの方がGSIよりも有効であると考えられた。また, 飼育魚は天然魚に比べ, 成長に伴って成熟度が高くなる傾向が認められ, 飼育下では自然界よりも成熟が早い可能性が示唆された。
著者
五利江 重昭
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.519-527, 2001-12-20 (Released:2010-10-28)
参考文献数
7
被引用文献数
6

MS-Excelのソルバーを用いて,非線形最小二乗法および最尤法によりvon Bertalanffyの成長式のパラメータを推定するワークシートを作成した。兵庫県但馬沿岸域で漁獲されたヒラメ(雄)の耳石の測定結果と年齢一体長関係について,パラメータの推定結果をWalfordの定差図法と比較したところ,Walfordの定差図法では成長係数が過小評価になっていると考えられた。また,最小二乗法と最尤法では,推定されたパラメータは同じであった。ここで示した成長式のパラメータを推定するワークシートは,年齢-体長データから成長式のパラメータを推定するのに役立つだろう。
著者
五利江 重昭
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.243-249, 2002-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
16
被引用文献数
1

MS-Excelのソルバーを用い, 最尤法および非線形最小二乗法により, 全長組成の相対度数分布を混合正規分布に分解して, 各年齢の混合比とAge-Length keyを推定するワークシートを作成した。計算例題として, 兵庫県の但馬沿岸域で漁獲されたヒラメの全長組成と, 成長式のパラメータ推定時に得られる情報を用い, 最尤法と最小二乗法でパラメータの推定結果を比較したところ, 両者に若干の差が見られた。しかし収束状況は, 最小二乗法の方が最尤法よりも安定しているので, ソルバーの制約条件を工夫し, 最小二乗法を用いて収束させるのが実用的であると思われた。ソルバーの制限条件をよく理解した上でこのワークシートを用いれば, 年齢別漁獲尾数の推定や, 放流効果の評価に役立つだろう。また他の対象種に合わせてワークシートを改良する雛形として使用できる。
著者
今井 正 出濱 和弥 坂見 知子 高志 利宣 森田 哲男 今井 智 山本 義久 岡 雅一
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.273-280, 2016-09-20 (Released:2017-09-20)
参考文献数
27

ろ材の洗浄工程での硝化細菌の活性を維持するために,セラミックスろ材のアンモニア酸化能力に及ぼす乾燥の影響を調べた。25℃でろ材のアンモニア酸化活性測定後,それを海水から出して25℃の異なる3条件(湿度30%と60%の空気中,袋に入れて湿度飽和)で保存した。ろ材を30日目まで保存した後,再度アンモニア酸化活性を測定した。最初の活性と比較して,湿度30%と60%で保存したろ材の活性は,それぞれ6日目と21日目に半減した。湿度30%で保存したろ材の活性は7日目に失われたが,湿度60%では30日目にも3.2%の活性があった。湿度飽和状態では,ろ材は30日目でも約50%の活性を持っており,ろ材のアンモニア酸化細菌と古細菌は最初の状態と同様であった。湿度飽和で保存したろ材を海水に戻し,アンモニア源を添加すると,その活性は3日後に回復した。よって,洗浄工程においてアンモニア酸化活性を維持するためには,ろ材の乾燥を防ぐ必要がある。
著者
浜口 昌巳 川原 逸朗 薄 浩則
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.189-193, 1993-06-20 (Released:2010-12-10)
参考文献数
24

佐賀県栽培漁業センターで1992年の4月に採卵・孵化したのち, 種苗生産を行っていた稚アカウニに8月後半から9月初旬にかけて大量斃死が発生した。発生時の水温は23~25℃で, 斃死個体は黒斑や脱棘が顕著ではなく, 囲口部の変色や付着力の低下などの症状を呈していた。また, 管足表面には多数の糸状とも思える長かん菌の蝟集が認められた。この菌はFlex-ibactey maritimus2408株に対する抗血清とよく反応した。海水で調製した改変サイトファガ培地上で分離したところ, 無色で周辺が樹根状のコロニーを形成した。この細菌による人為感染試験を菌液塗布法 (2.3×106cells/ml) と浸漬法 (3.8×106, 3.8×105cells/ml) によって行ったところ, いずれも発症・斃死にいたった。このことから, 今回の大量斃死は細菌感染症であることが明らかとなった。
著者
萱野 泰久 尾田 正
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.419-425, 1994-09-20 (Released:2010-12-10)
参考文献数
18
被引用文献数
1

平均全長8.1cmのキジハタ人工種苗を1984年10月から'89年8月までの5年間にわたり, 配合飼料及び練り餌を投与して陸上水槽中で飼育し, その成長過程を明らかにするとともに, 自然産出卵を得た。1) 時期別の平均全長は, 1歳魚が14.5cm, 2歳魚が21.7cm, 3歳魚が29.3cm, 4歳魚では雌が31.0cm, 雄が32.6cm, 5歳魚では雌が32.4cm, 雄が34.5cmであった。年間成長率は年齢の増加とともに著しく減少した。2) キジハタの全長 (L, cm) と体重 (W, g) の関係はW=0.Ol452 L3.082と表せた。3) 8月から10月の平均全長から年齢 (t) と満年齢時の全長 (Lt, cm) との関係を雌雄別にBertalanffyの成長式で表すと次のように表された。雌: Lt=40.5 [1-exp {-0.2859 (t+0.875) } ] (t≧l)雄: Lt=48.1 [1-exp {-0.2186 (t+0.911) } ] (t≧4)4) 飼育条件下での産卵期間は, 年によって多少異なったが, ほぼ6月から8月の間であった。初産卵はふ化後1年10か月齢の6月下旬に見られ, その後年齢の増加とともに産卵量は増加した。
著者
鵜沼 辰哉 野口 浩介 澤口 小有美 長谷川 夏樹 町口 裕二
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.331-339, 2013-12-20 (Released:2015-04-02)
参考文献数
39

フロック状のマナマコ用配合飼料を開発した。海藻粉末と市販のナマコ用配合飼料を混合し,ここに約2.4倍量の無機成分(珪藻土とゼオライト)を加え,海藻粉末に含まれるアルギン酸を粘結剤として攪拌しながら塩化カルシウムでゲル化することにより,フロック状に粗い粒子の集合した飼料を調製した。この試験飼料を体長約7.8 mm の稚ナマコに29日間与えたところ,生残率,日間成長率とも海藻粉末区,市販ナマコ用配合飼料区よりも有意に高かった。また,体重約96 g の親ナマコに42日間与えたところ,日間成長率は市販ナマコ用配合飼料区よりも有意に高く,生殖巣指数も高い傾向を示し,組織学的観察から卵形成がより進んだと考えられた。これらの結果から,本飼料は稚ナマコ育成,採卵用親ナマコ養成の双方に有効であると考えられた。
著者
田子 泰彦
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.115-118, 1999-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6
被引用文献数
4

近年, 神通川と庄川ではサクラマス親魚の遡上できる範囲と漁獲量は徐々に減少した。神通川における親魚の遡上範囲と漁獲量の関係はy=-3.97+0.0827xの回帰直線式で示され (r=0.693) , この式は庄川にも当てはまった。この事実は, サクラマス資源の減少は, ダムの建設などによる河川環境の大きな変化と密接に関係していることを示唆している。
著者
新谷 一大 渡邊 精一
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.245-252, 1990-09-30 (Released:2010-03-09)
参考文献数
20
被引用文献数
1

1988年7月から1989年6月までの1年間に, 茨城県牛久沼において採集したオオクチバス523尾の食性を調査した。同沼においては, テナガエビ, アメリカザリガニが本種の主要な餌生物であり, モツゴ, ヨシノボリがこれらに次いでいた。本種の体長が増すにつれて, アメリカザリガニの出現率が増加し, ヨシノボリの出現率が低下した。体長が増すにつれて, 餌の大きさの最大値が上昇する傾向がみられたが, 大型の個体は, 小型の餌もよく利用していた。本種は甲殻類を年間を通して (特に夏と冬) , 魚類を夏から秋にかけて, 水生昆虫を春にそれぞれ良く捕食していた。小, 中型個体は年間を通して魚類および甲殻類を主要な餌として利用していたのに対し, 大型個体では甲殻類を主要な餌生物としていた。
著者
土井 敏男 野田 亜矢子 濱 夏樹
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.601-602, 2008-12-20 (Released:2012-09-15)
参考文献数
7

Histological specimens of the tissue of a red-spotted grouper Epinephelus akaara infected by Lernaeenicus ramosus were observed. The muscle of the host was inflammated around the intruding head horn of the parasite, resulting in granuloma. Another host,parasitized by three copepods on the dorsal trunk, recovered spontaneously in captivity over a period of six months without any treatment.
著者
楠木 豊
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.13-21, 1971-05-30 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6

1. '69年1月から5月まで広島県下の五日市, 音戸, 三高, 安芸津のカキ養殖場で, 毎月1回海水中色素量と, そこに養殖されているカキの消化盲のうの加熱による緑変を調べた。又培養藻類でカキを飼育し, 消化盲のう中の色素との関係をみた。2. 消化盲のう部の色は1月が最も濃く, 月とともにうすくなる傾向にある。又場所別にはカキの成長の良いところが色が濃い。3. この緑変の程度は, カキの体内に取り入れられる海水中色素量と密接な関連が認められた。4. 消化盲のう部の色の変化は速かで, 5日程で, その前の影響は殆んどなくなる。5. 人工飼育したカキの消化盲のう部の色素は, 給餌したプランクトンの色素と同じ吸収曲線を描いている。6. これらのことから, 緑変の色素は海水中の植物プランクトンに由来することが認められた。
著者
森川 晃 川上 弘 田北 徹
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.271-277, 2002-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
14

1998年4月から2000年4月に島原半島沖の有明海で漁獲されたマゴチ603尾とヨシノゴチ263尾について, 耳石薄片標本により年齢と成長の解明を試みた。耳石輪紋形成時期は両種とも年1回, マゴチでは6~7月, ヨシノゴチでは4~5月であり, いずれも産卵期にほぼ一致し, 輪紋数は年齢を示すと考えられた。満年齢時における両種の雌雄別逆算全長をもとに, 非線形最小二乗法を用いて, von Bertalanffyの成長式をあてた結果, t歳における全長Ltは次式で表された。マゴチ雄: Lt=458.26 (1-exp (-0.417 (t+0.439) ) )雌: Lt=728.44 (1-exp (-0.192 (t+0.978) ) )ヨシノゴチ雄: Lt=469.72 (1-exp (-0.215 (t+3.008) ) )雌: Lt=657.45 (1-exp (-0.267 (t+1.076) ) )両種とも, いずれの年齢においても雌の方が雄より大きい体サイズを示した。