著者
藤井 猪一郎 早稲田 万大 鬼塚 伸幸 山本 賢一 向原 要一 永野 博明 楠田 幸雄 竹川 和明
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.889-892, 2008-11-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
12
被引用文献数
1

2007年2月に管内ペンギン水族館において, 屋内飼養ジェンツーペンギン18羽中2羽 (ペンギンA, B) が, 元気消失, 食欲不振, 嘔吐および沈鬱の症状を示し, うちペンギンAが死亡. その他のペンギンには異常は認められなかった. X線検査では, ペンギンAの腹腔内に直径2mmの球状物3個が, ペンギンBには20個の球状物が認められた. 死亡ペンギンAの剖検所見では, 胃底部に軽度のびらんと金属粒が2個, 腸管粘膜には充出血が認められた. 原子吸光分光光度計によるペンギンAの肝臓中鉛濃度は13.3±0.21ppmで, ペンギンBの血清中鉛濃度は6.64PPmであった. また, 金属粒はX線定性分析により鉛と判明した. その他の4羽の健康なペンギンの血清中平均鉛濃度は, 0.007±0.003ppmであった. 以上より本症例は鉛による中毒症と診断された.