- 著者
-
長江 徳和
榎並 敏行
- 出版者
- 公益社団法人 日本分析化学会
- 雑誌
- 分析化学 (ISSN:05251931)
- 巻号頁・発行日
- vol.49, no.11, pp.887-893, 2000 (Released:2001-06-29)
- 参考文献数
- 12
- 被引用文献数
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水100%移動相を用いた場合の逆相固定相の保持挙動を評価した。水100%移動相をカラムに通液すると核酸塩基などの試料の保持は時間の経過とともに,また一度通液を停止した後に保持時間が短くなり,このときのカラムの重量差から水が充填剤から抜け出していることが示された。水100%移動相を用いた場合の保持の減少は充填剤の細孔から移動相が抜け出し,その結果移動相と固定相の接触している分離の場が減少することにより起こることが推察された。細孔径,固定相のアルキル鎖長,カラム温度又は緩衝剤などにより保持挙動は大きく変化し,22nm以上の細孔径の大きな固定相であれば,水100%移動相条件でも再現性の高い保持が得られた。また,長いアルキル鎖長のC30固定相は10nmの細孔径でも同様に再現性の高い保持が得られた。固定相や移動相の様々な条件を変えることにより,一般的な逆相固定相でも水100%移動相条件下で再現性の高い分離が可能であることが示された。