著者
権 静香 小嶋 秀幹
雑誌
福岡県立大学心理臨床研究 : 福岡県立大学心理教育相談室紀要 (ISSN:18838375)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.31-42, 2015-03-31

在日コリアン青年11人に、本名と通名の使い方についてインタビュー調査を行い、在日コリアン青年の名のり行動を形成するプロセスと、名のり行動と心理的葛藤との関連を明らかにした。名のり行動の形成には、<経験>、<イメージ>、<環境・制度の影響>、<重要他者の意識>、<意識>、<名のりに伴う感情>が関連していた。また、名のり行動において葛藤を示す人と、葛藤を示さずに現在の名のり行動を形成している人がいることが明らかとなった。本名を名のることでポジティブな経験をし、それによって本名に対するポジティブな感情を持ちながらも、本名を名乗ることによるネガティブな経験やネガティブな感情が同時に存在する場合、また、重要他者の意識が通名使用を促すものであり、かつ自分自身の経験や感情が本名に対してポジティブなものである場合、葛藤が生じるというプロセスが見出された。