著者
横山 信幸
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.60-70, 2016-01-10 (Released:2021-01-29)

宮沢賢治「やまなし」は、昭和四六年(一九七一年)に小学校国語教科書教材として採用された。一方、研究者による作品の解釈・研究も持続して行われてきた。この間、わが国の国語教育は、経験主義的国語教育から言語能力重視(昭和五二年版)の教育へと転換、さらに現在の「経済のグローバル化に対応できる人材の育成」へと変わってきている。子どもと教師と研究者は互いにどのように関わり合い、「やまなし」に何を読もうとしてきたのか。
著者
横山 信幸
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.62-72, 2013

<p>私たちは、自分の使うことばの世界から出ることはできない。それゆえ、ことばの外にあるものを捉えることはできない。しかし、真の意味はことばの外から来る。私たちが真の世界へと近づくためには、自分の内部に築いたことば(=偶像)を否定し続けることが必要である。このような田中実氏の読みの理論は、唯一の神への接近を説いた「モーゼの掟」と似ている。「オツベルと白象」は、異世界のことばと接するときに生じた悲劇を描いたものである。</p>