著者
横山 學
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.63-69, 2004-10-10

江戸時代に「琉球」を意識する機会は限られた。生涯に二度か三度の好機に、庶民は琉球国使節の行列を見物し、噂し、琉球物刊行物を買い求めた。文人・識者たちは深い知識を求めて情報を交換し、著作を残し、これは近代の「沖縄観」に連続する。ハワイ大学宝玲文庫(約二〇〇〇冊)には、「琉球の世界」が蔵書の形で残されている。史料の存在そのものが、琉球への関心、琉球への認識の深さ、関わった人たちの相互の関係を教えている。