著者
横正 健剛 山地 直樹 馬 建鋒
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 第52回日本植物生理学会年会要旨集
巻号頁・発行日
pp.0960, 2011 (Released:2011-12-02)

ソバはアルミニウム(Al)耐性が強いだけではなく、地上部に高濃度のAlを集積する。生理学的な解析から、ソバはAlに応答し根からシュウ酸を分泌し、地上部ではAlをシュウ酸との錯体で液胞に隔離することが明らかとなっている。これらの過程には多くのトランスポーターの関与が考えられるが未だ同定されていない。私たちはソバのAl耐性及び集積の分子機構を網羅的に解析するために、Alで処理したソバの根からRNAを抽出し次世代シークエンサーを用いてEST解析を行った。均一化したcDNAライブラリーから遺伝子配列の決定を行い約10万のコンティグを作成した。また、均一化していないcDNAライブラリーを用いたショートリード解析から発現量の測定を行った。本研究では、トランスポーター候補遺伝子の中で発現上位にあるFeIREG2についてその全長の単離と機能解析を行った。RACE法を用いて完全長cDNAを単離したところ、FeIREG2はシロイヌナズナのFeとCo、Niの排出トランスポーターAtIREG2とアミノ酸レベルで約60%の相同性を示した。FeIREG2は根で発現し、Al処理6時間後には約20倍に増加していた。この遺伝子とGFPの融合遺伝子をタマネギ表皮細胞に発現させたところ、液胞膜に局在していた。これらのことからFeIREG2はAlの液胞への隔離に関与している可能性が考えられ、更なる解析を進めている。